2022年12月05日

第6回臨床自律神経Forumで発表しました

第6回臨床自律神経forum
日時:2022年11月19日
会場:川崎市産業振興会館
主催:臨床自律神経機能Forum

当院は、「脊柱の調整は自律神経活動を健常にするか」  ー副題:脊椎原性疾患の発症機序を考えてー
の表題でポスター発表を行いました。
抄録を添付いたします。

脊柱の調整は自律神経活動を健常にするか
脊椎原性疾患の発症機序を考えて
桜カイロプラクティック 吉野和廣、吉野和織
第6回自律神経フォ―ラム抄録

背景 コンピュータの性能が向上し、心拍変動中の交感神経と副交感神経の測定が容易になり、交感神経のリズムは骨格筋の血管運動神経と相似し、骨格筋の活動と交感神経活動が密接に関わるとの報告も散見される。演者らは骨盤が左右対称的に歪むことを報告して来た。骨盤の歪みは体幹を捻じれさせ、脊柱は逆方向へ補正をするので変位が発生する。変位は脊柱に沿う交感神経幹・神経節の活動と体性神経との協調活動を混乱させて心身の機能が不全になる仮説を掲げている。これまで心拍R-R間隔中の時間・周波数領域の解析法で被験者が体位変換時、交感神経反応上昇型、同反転型、安静時自律神経活動低下型であったのが、脊柱補正後は健常型に近づく所見を得た。 
目的 脊柱の変位を補正した時と行わない時の自律神経活動の成分の違いを調べる。 
方法 被験者は健康目的で来院された33例の方。脊柱の補正板:三角錐の形状をした背もたれ板を仰臥位で左肩下に留置。自律神経の測定:心拍計は㈱ジーエムエス社のLRR-03、ソフトウエアーは㈱クロスウエルのきりつ名人。測定項目は時間領域全活動量CVRR、周波数領域:CCV(HF)、CCV(LF)、CCV(VLF)、L/H比、および心拍数:HR。来院されて安静後、体位変換法で各1分間計測(座位→起立位→立位)を行う:補正(-)。その後に脊柱補正板を20分間留置し安静後、再計測:補正(+)。統計は対応のあるt検定、回帰直線を用いた。 
結果 体位変換中の自律神経活動量は、補正(-)よりも補正(+)は起立位でCVRRを有意に上昇させ、その成分はCCV(LF)、CCV(VLF)であり、CCV(HF)は変化なかった。心拍数は補正(-)よりも補正(+)が座位、起立位、立位にわたり有意に低下した。補正(+)では、起立位のCVRR、CCV(LF)ならびにCCV(VLF)は加齢との間で負の相関性を検出したが、その減衰する線形は座位より高値であった。
考察 CCV(VLF)は交感神経機能のゆっくりとした全体的活動、血管運動活動?を示すことが知られるが、脊柱補正で最も上昇したことから脊柱変位との関わりを想像する。脊柱補正後の起立位は低周波から超低周波領域の自律神経活動量が上昇し、心拍数は強い上昇がなかったことから、身体パフォーマンス、身体機能が低下した場合に脊柱補正は効果を表すと考えた。 
結語 脊柱変位の補正を行わないよりも行うと、心拍変動由来の低周波から超低周波領域の自律神経活動は上昇することがわかった。

  


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2020年07月06日

非特異的腰痛の原因(2)

 前回に続いて、非特異的腰痛の原因(2)を記載します。

 同じ健常者を、定期的に月に一度の割合で、施術する機会があり、毎回のように右EXを検出することから、その方は小さな右EXを、毎回作っていると考えざるを得ません。

 健常者の右EXは、個人の生活習慣の違いよりも、からだの中で発現する普遍的な理由がある、と想像されたことから、健常者と有症者が混在する右利き足者276例、左利き足者33例(Chapmanの判定基準を元に特定)の左右利き足者の右EX臨床像の違いを調べてみます。

 左利き足、右利き足者の固定腸骨像
 その結果、左利き足者では左PIが1人、右ASが2人検出されましたが、その他は両グループともに左腸骨はAS、IN固定を検出し、右腸骨はPI、EXであり、特に右EXの頻度は両グループの8割以上で検出しています(表4)。
 
 利き足者の固定頻度は、全例間、男性間、有症者間は有意の差があり、健常者間、女性間には差がありません(表略)。
相関性は、両グループともに正相関が左ASと右PIに見られています。

309例の特定因子(健常者と有症者、左右の足、男女、並びに固定方向)について、多変量解析で関連性を解析すると、健常者と右EXは強い関係があることがわかりました(図略)。

 これらの結果から、腰痛や肩こりのない健常者は、日常的に右腸骨が外方へ固定していると結論されました。
右腸骨は、右PIと右EXに固定され、左腸骨は左ASと左IN固定されるのは、一般に言われるような利き手・利き足の違い、の関係はなく、からだの普遍的なメカニズムに、もとづいていることが推測されます。



 左脳と右脳の運動機能
 一方、言語や音楽は、左右の脳半球で活動が分業するように、運動も分業があるとされます。
左脳は、関節の微調節を保ちながら、細かい動作を行ない、意識的な運動脳の働きが得意とします。
それに対し、右脳にはそのような働きはなく、大きな関節を無意識的・危険回避の反射的な動きを、優先する姿勢脳の働きがあることが知られています。

 運動の神経回路は言語や音楽の認知機能と違い、延髄で交叉し、左脳由来は右半身側へ、繊細な動作の骨格筋調整に優れ、右脳由来は、左半身側に姿勢を保つ骨格筋調整を行っています。このことは、右脳由来の姿勢脳は左足を「軸足」、左脳由来の運動脳は右足を「運動足」として分業しています。

 このメカニズムがヒントになり、そうであるなら、左腸骨がASとIN固定だけで、右腸骨がPIとEXの理由がわかってきます。

 左腸骨がASを作り易い理由
 運動力学に基づく仙腸関節の動き方は、腸骨が前上方に可動すると仙骨が起き上がり、腸骨が後下方すると仙骨がうなずく側に動く、Kapandijの「うなずき起きと上がり運動」としてよく知られています。

 図3Aの模式図は、左足の「軸足立」と、矢状面の「左仙腸関節と腰椎」を示します。腰椎は後彎することで、脊柱S字カーブが消失し、脊柱は直線的で、体幹が固まるので姿勢が安定します。

 図4Aはその時の横断面で、左腸骨と仙骨の、不一致関節刻面どうしが、噛合い圧縮し、密着することで「左軸足」が成立します。
しかし、この圧縮構造は、AS固定になり易いわけです(模式図は便宜上、腰椎の前に左腸骨を描く)。



 右腸骨がPIを作り易い理由
 図3Bの「右運動足」は、右足でボールを蹴り上げる瞬間を表します。
この時の「右仙腸関節と脊柱の動き」は、仙骨のうなずき運動を行います。
 右腸骨が、後下方回旋して仙骨がうなずく動作は、腰椎のS字カーブが増大して、関節刻面が最大に離開(図4A)し、右足は大きい可動域を得、てボールを蹴り上げるのに都合がよい姿勢です。

 運動時の動的な構図で強調しましたが、日常の体幹の動きとは、左脳由来の右手と足が細かい動作を行ない、右運動足の関節面が離開するので、右腸骨は右PIを生じ易いわけです。

 右腸骨がEXになる機序
 図4Bは、横断面で右EXの発生機序を表しています。
 運動足側の仙腸関節は、腸骨が仙骨に対し、不一致な刻面をした耳状面の噛合いは、解離方向の動きになっており、最小です。

 右腸骨側の腸骨と仙骨の、離開方向の噛合いの不都合は、小学校(10歳頃)高学年の児童期頃から始まります。
成人の頃になると前仙腸靭帯、後仙腸靭帯、骨間靭帯は弛緩し、左仙腸関節よりも右仙腸関節は緩み、曖昧になります。

その結果、右寛骨を支持する、右腸骨稜から鼠径靭帯に付着する右腹斜筋群が、筋緊張を引き起こし、右腸骨は前方に引っ張られ、右EXが発生します。

 右腹斜筋群が関わるのは、健常者48例の冠状面の正面像における、臍の位置が、腹部水平線の中央から右側へ、1.1±4.99mm移動していたことと、右腰背部痛の来院者は、右鼠径部に圧痛を訴えることが多いことから推測しています。

 体重は軸足で支えていますが、時には右足に換えるので、左右の仙腸関節は逆方向に負荷をかけてバランスをとり戻しています。

 しかし軸足と運動足は、普遍的な左右非対称性です。右仙腸関節は持続的に離解を強いられ、繰り返され、左よりも右側の靭帯は、弛緩し曖昧な関節になるのです。


 右脳の姿勢脳がすべてのスポーツを左回りにする
 右姿勢脳の無意識的な反射的能力が働くと、立位姿勢は両側の足で体重を支えてなく、体重は優先的に左半身が受けます。
 図3Aのように、必然的に左軸足で立ち、からだは左回り回転が安定します。
逆に右軸足では、左足は不得意な動き方になります。
日常では、左足が自重を支えることで、右足の自由を確保します。

 人は、左回りの回旋が得意であることを疫学的に検証すると、野球競技、スピードやフィギアのスケートの氷上競技、短距離を除くマラソン陸上競技、円盤投げ・ハンマー投げのフィールド競技、社交ダンス、競輪・競艇・オートレース、すべての競技は左回りです。

 円周に回る競技は左回りしかない疫学的な事実が、左軸足はASを生じ、右運動足がPI、EXを生じ易いことを物語ります。

 非特異的腰痛の発症機序
 骨盤と脊柱がからだの基本構造とすれば、それらをつなぎ合わせている仙腸関節、腰仙関節及び椎間関節は重要です。

 土台である仙腸関節は、関節面は不一致刻面で、関節包があり、前仙腸靭帯と後仙腸靭帯には知覚神経週末が分布し、骨間靭帯で結ばれ(図4B)て、骨盤環を安定に保っています。
 
 上半身の体重を、左右の下腿へ分散する運動神経は、脳半球が優先的に支配し、上述の運動力学により、右仙腸関節は解離する頻度が多いので、EX方向へ固定され易く、左仙腸関節は逆にAS方向へ固定され易くなっています。

 そのため仙腸関節は、左AS、左IN、右PI及び右EXに固定されて、強固な関節が緩み、右寛骨は横断面で前方に歪みます。
骨盤の筋起始部に付着する起立筋群と腹筋群が、反射性緊張し、阻血状態になることで、筋・筋膜性の腰痛を発症します。

 軽度な腰痛は短期間で治まりますが、からだが痛みに慣れただけで、固定は消失しません。

 固定が拡大し、許容限界を超える体重移動が加わる時、支持組織、仙腸靭帯が破綻し、歩行困難な仙腸関節性腰痛を発症します。
 仙腸関節性腰痛の回復は寝て安静にするよりも、固定腸骨を取り除く方がはるかに早く回復しています。 

 右腸骨のPI固定は、同側の大腿四頭筋起始部を過伸展させ短下肢になり易く、対側の左腸骨AS固定は、大腿二頭筋起始部を過伸展させて長下肢を作っています。
 この問題は大腿筋が弱化する理由として知られ、体幹を支える最大の拮抗筋のアンバランスが、長期にわたり脊柱に負荷を掛け、腰仙関節は不安定な重心移動し、脊柱のS字カーブが失われ、腰椎は後湾し、ストレートネックになると思われます。
 
 脊柱は、椎骨と椎間関節、椎間板の3点セットでつながり、寛骨が横断面で前方に捻じれるので、椎骨をつなぐ固有背筋が、脊柱を捻じり傾け、重心を捉えて姿勢を保つ。
 臥位を除いて常に固定した仙腸関節の影響を受け続け、3点セットの立体構造は、椎骨間の支持靭帯、椎間関節を包む関節包が変形や変性退化し、椎間関節、椎間板局部で炎症が惹起し影響を受けると推測されます。
 
 右腸骨のEX固定が起因となり、筋・筋膜性腰痛、仙腸関節性腰痛、椎間関節、椎間板性腰痛が発現する仮説を発表します。

 以上をまとめますと、非特異的腰痛の治療法は、仙腸関節の固定を除く施術が、原則になると結論します。
 

特異的腰痛の予防と施術
 仙腸関節由来の腰痛は、徒手療法、鍼灸、ヨガ、光線、気功、アロマセラピー、運動療法、温泉療法などの統合医療が適しています。仙腸関節の固定した方向を脳裏に入れておけば、的確な施術が出来、予防も容易な操作となります。

 医師をはじめ、看護師、リハビリテーション業務に携わる介護福祉士、介護士、各種療法士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、カイロプラクティック、ヨーガなどの専門技職の方、ご家庭で介護をされるご家族の方でも出来る、腸骨メジャーの基本的な施術法を紹介します。

 施術は2段階の操作があります。可動制限された仙腸関節の回復を目的に、PSIS並びに坐骨結節を、固定されている方向の反対側へ、ごくわずかな優しい手の力(マニュピレーション)で持続して押圧します。

 受療者の姿位は仰臥位、側臥位、伏臥位で布団上で、固めのベッド上が最適です。
 
 左腸骨の場合、マニュピレーションは、PSISは内から外の方向と、坐骨を上から下方向へ行ないます。
左腸骨のAS腸骨は圧縮された固定なので、施術はごく軽い強弱を加えます。
左側の大腰筋、大腿四頭筋は拘縮し易いので、肩こりをほぐすように筋弛緩操作も有効です。
 不適切な操作が、PSISを上から下の方向と、外から内への方向です。

 右腸骨の場合、マニュピレーションは、PSISは上から下の方向と、外から内側へ行います。
 右腸骨は関節が離解後の曖昧な固定なので、強めの押圧が重要です。右側の大腰筋、腰方形筋と腹斜筋は拘縮し易いので、肩こりをほぐすような筋弛緩操作も有効です。
 不適切な行為が、逆方向でPSISを内から外側の方向と、坐骨を上から下の方向です。
 
 高齢者の場合、腰痛は腰背部の組織が変性退化していることを考えて、慎重に上記の操作を行なうことで、痛みは緩解することが期待されます。仙腸関節の固定が癒合する前の段階での施術が望まれます。
 可動域内の適切な押圧は、操作中と施術後は心地よい感覚があることも目安です。

 超慢性的な有症者は可動域から逸脱した固定や、仙骨メジャーの固定がもたらす腰痛、特異的腰痛の可能があり、痛みが増す場合は直ちに中止です。

 肩こり・頭痛等の有症者でも、固定腸骨がからだの可動域を狭め、運動量も小さいので、仙腸関節の運動連鎖は、上肢と下肢の動作回復につながります。
 関節と筋の可動域を取り戻すことを目的とした、リハビリテーション医学の操作に役立つことが期待されます。

 注意していただきたいことは、腸骨は左右でそれぞれ別方向に固定しているので、予防であっても仙腸関節は左右側に同方向の操作を行うことは好ましくありません。

 固定を強くする施術は、効果が期待出来ないし症状が増悪することにつながります。

 リハビリテーション医学に携わる方々、徒手療法を扱う方々のご参考になれば誠に幸いです。


 終わりに
 ぎっくり腰の予後は健常生活に戻っても、固定腸骨は残るので、骨盤、体幹、脊柱の柔軟性が損なわれてこわばって来ます。

 特異的腰痛の脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどは、脊柱の立体構造の不可逆的な構造退化と考えると、脊柱の破綻は仙腸関節の問題ではないでしょうか?
 脊柱が病変を伴う構造退化してしまう理由が見当たらないのです。

  右EXは、腰痛だけではなく、自律神経系にも影響をもたらすと考えています。
横断面で右EXは右前方なので、体幹と右肩甲帯を前方へ捻じらせます。

 体幹は左回りに捻じれるので、固有背筋が、脊柱を逆の右回りに捻じらせる補填機能が働きます。
その結果、胸腰椎は代償性の右回旋変位を生じます。

 この変位が交感神経幹節を刺激し、交感神経活動を亢進させて、自律神経由来の諸症状を起こすと推測しています。

引用文献
1. 吉野和廣、他: 左並びに右利き足被検者における右仙腸関節の外方変位像 -筋骨格系疾患の発症機序を考えて(第三報)-.日本カイロプラクティック徒手医学会誌.2010. ('10年最優秀論文賞)
2. 青木虎吉ら:ぎっくり腰、医学のあゆみ、1988.
3. 日本整形外科学会診療ガイドライン(監修):腰痛診療ガイドライン2019、改訂2版、南江堂、2019
4. 村上栄一:仙腸関節由来の腰痛,日本腰痛会誌,2007.
5. Cailliet R. (萩島秀男訳) :腰痛症,原著第5版,医歯薬出版.東京、2006. 
6. Weisl H: The movement of the sacro-iliac joint. Acta Anat. 1955; 23.
7. 伊志嶺隆:仙腸関節の病理組織学的加齢変化.日本整形外科学会誌、1989,
8. 三浦啓志:仙腸関節の生力学的特性.日本整形外科学会誌、1987; 61:1093-1105,
9. 金田清志(編集委員井上一也):新図説臨床整形外科講座,第4巻,骨盤の機能解剖と障害, メディカルビュー社、東京、1995.
10.Snell R.S(山内昭雄訳):スネル臨床解剖学. 第3版、メディカルサイエンス・インターナショナル, 東京、2002.
11. Kapandi IA.(萩島秀男監訳): 関節の生理学,Ⅲ体幹・脊柱,医歯薬出版、東京、2010.
12.Newman D.A(嶋田智明,他監訳):筋骨格系のキネシオロジー.第15章 4部 関節運動学, 医歯薬出版、東京,2005.
13.グレイの解剖学(塩田浩平他訳):Gray’s anatomy、グレイ解剖学 原著第2版、Elsevier、東京、2016.
14.Chapman IJ. et al,:The measurement of handedness. Brain and Cognition.1987.
15.前原勝矢: 右利き・左利きの科学.講談社,東京、1989.
16.吉野和廣ら:肩甲帯の左回旋に対する脊柱の補填作用,日本カイロプラクティック徒手医学会誌,2011.
17.吉野和廣著:からだのねじれを正すと交感神経が整う、 ㈱たま出版、東京、2017.
18.土肥信之著(東洋療法学校協会編):リハビリテーション医学、第3版、医者薬出版、東京、2008.
19.奈良勲ら編:姿勢調節障害の理学療法、医歯薬出版、東京、2006.
20.Gonsted CS.(塩川満章訳):ガンステッドカイロプラクティック科学&芸術、科学新聞社、東京、1991.
21.吉野和廣:健常者と非特異的腰痛並びに背部痛者における脊柱変位像の分析,日本カイロプラクティック徒手医学会誌、2009. (’09年優秀論文賞)
22.吉野和廣、吉野和織:脊柱の調整は自律神経の活動を健常にするか? 脊椎原性疾患の発症機序を考えて、 日本カイロプラクティック徒手医学会誌、2019


桜カイロプラクティック
院長 吉野和廣


  


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2020年07月02日

非特異的腰痛の原因(1)

 皆さま、今日は。
 久しぶりで、四方山カイロ話をお送りいたします。

 突然に起こる腰痛とは、『ぎっくり腰』のこと。
振り向いたり、物を持ち上げたり、くしゃみをしただけで、一瞬の動作で襲ってくる激痛、欧米では『魔女の一撃』と称し、世界中の人が生涯で一度は経験するとされる腰痛の原因についてです。

 住んでいる町で、千人に一人が『ぎっくり腰』として、世界中となると、数えきれないとても大勢の人が手を腰にそえて苦痛に耐えておられます。

 腰痛疾患で耳にする腰椎椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄等は、痛みの原因が、レントゲンやMRI機器の画像から容易に特定されることに対し、『ぎっくり腰』は画像に表れず、原因が不明です。

 腰痛の原因が不明で、特定されないことが実はとても多いのです。
 腰痛疾患の分類を表1に表します。
原因が特定される腰痛は特異的腰痛で、不明の非特異的腰痛と区別されて、『ぎっくり腰』は非特異的腰痛です。
実に腰痛疾患の85%の人の原因は、現在でも不明のままです。
表1 腰痛疾患の分類

 非特異的腰痛の原因は、骨盤や脊柱の組織に変形や、変性変化が下地にあるのですが、骨盤が複雑に可動する構造にはなかなか近づくことが困難なのです。

医療が用いる検査手法では原因が特定されません。

 治療法は、安静療法、薬物療法、理学療法、牽引療法、運動療法、温泉療法と多岐の対処療法や、固定療法もありますが、一長一短で、原因に基づく本格的な治療方法の研究開発が必要でした。
腰痛原因の追及が行なわれない限り、的確な治療法は見過ごされたままです。

 非特異的腰痛に対するカイロプラクティックは、重症の仙腸関節性腰痛を除けば、施療後は階段を容易に上り下り出来る効果があり、実に的確です。
的確であるものの、施療する部位、腸骨変位(固定腸骨)の実態を客観的に示す、科学的な裏付け情報ほとんど見当たりません。

 医療とカイロプラクティックは、腰痛の原因が腰仙部の病理と一致しますが、前者は画像に特定されないので治療法は定まらず、後者は腸骨が固定する理由、メカニズムを把握できていなかったわけです。

 桜カイロプラクティックの20年間、取り組んできた研究テーマが、非特異的腰痛の原因追及です。
学術論文や単行本に発表し、腰痛に関しては、この代替療法が的確な治療法であることを啓蒙し続けています。

 本日は、骨盤、固定腸骨の解剖模式図、臨床像、実像をUPします。
その前に、固定腸骨の検出法について。

固定腸骨の検出法
 当院が用いる判定方法は、Goodheartと脇山のAKチャレンジ法で、判別しにくい固定の方向を特定するには少し工夫をしてます。
それは、臥位姿勢で被検部にわずかの瞬発力を加えた後、検査筋の筋力脱力の有無を繰り返すが、基準点数を判定するもので、異なる判定者が同じ被検者を個別に診てもほぼ同じ結果が得られる精度があります。詳細な手順は「からだのねじれを正すと交感神経が整う、 ㈱たま出版、東京. 2017」にわかりやすく載せています。
腸骨が歪む方向の解剖学的な模式図(図1)
図1 腸骨の固定方向模式図

 図1Aは矢状面における左腸骨の上前腸骨棘(ASIS)が前上方に移動後、元へ戻れず前上方に固定したAnterial Superial:AS変位を示している。図1Bは上後腸骨棘(PSIS)が後下方に移動後、元へ戻れず後下方へ固定したPosterial Inferial:PI変位を示している。図1Cは横断面における左腸骨が内方に固定(Internal):IN変位を示し、図1Dは右腸骨の外方に固定(External):EX変位を示す。
両側の腸骨には、AS変位,IN変位,PI変位,及びEX変位のいずれか一方向単独の固定、もしくは二方向が複合した固定がある(以降、AS,IN,PI,及びEXと省略する)。

健常者と有症者の固定腸骨の臨床像
 論文は、主訴のない定期的に来院される健常者(63例)、主訴が非特異的腰痛者(84例)、肩こり・頭痛の背部痛者(72例)の3グループについて左右の固定腸骨像を調べている。
結果は健常者の84%、腰痛者では100%、背部痛者の94%に固定腸骨が検出されている(表2)。
 固定の方向を調べると、大きな特徴があることがわかりました。それは各グループ共に左腸骨にはASとINを検出し、PIとEXはほとんどなく、逆に右腸骨にはPI、EXを検出し、ASとINはありません。腸骨の固定は、左右側で真逆の方向に固定しています。
右EXは健常者の60%、腰痛症者の82%、背部痛者の83%にあり、右EXが左AS、左IN、および右PIよりも有意に多い。右PIと左ASは正相関性がある。
 多重比較すると、健常者の右EXが腰痛者及び背部痛者の左AS、左IN、右PIよりも有意に多く、腰痛者、背部痛者の右EXは、健常者の左AS、左IN、右PIおよび右EXよりも有意に多い。腰痛者、背部痛者の左INは健常者の左ASよりも有意に多い(表3)。
健常者の右EXの分布は、想像を超える高頻度であり、グループ間のクラスター分析でも収束されることがわかった。




以上まとめると
1.いずれのグループも、左腸骨に検出される固定は、AS変位とIN変位だけで、右腸骨はPI変位とEX変位だけでした。
2.健常者の60%は右EX変位を有しており、変位なしは16%のみであった。このことは健常人は日常で仙腸関節変位(可動性不全)を有していることを示した。
3.腰痛症群及び背部痛症群は、80%以上が右EX変位を有し、左IN変位、左AS変位は対照群の1.5~3倍と有意差を持って多かったことから、有訴発症に多様な変位を伴っていることが確認できた。
4.各群の右EX変位はクラスター分析で集束され、ヒトは右EX変位を発症し易い構造体である可能性が示唆された。

 次回の、非特異的腰痛症の原因(2)は、
左腸骨には、AS変位とIN変位で、右腸骨には、PI変位とEX変位しかない理由と、日常で、健常者は右EX変位を有しているように推測される事に対し、なぜEX変位が存在するのかを調べた結果を記述いたします。

用いた文献
1. 日本整形外科学会診療ガイドライン(監修):腰痛診療ガイドライン2019、改訂2版、南江堂、2019
2. 吉野和廣: 健常者と非特異的腰痛症並びに背部痛症者における仙腸関節変位像の統計的分析. (第一報)..日本カイロプラクティック徒手
医学会誌,2008.(‘08年度 最優秀論文賞)
3. J.D.Cassiby,etal.:カイロプラクティック総覧:本間三郎ら監訳,第16章仙腸関節の病態生理,エンタプライズ,1993年.
4. R.Cailliet:腰痛症:萩島秀男訳,原著第5版,医歯薬出版,1996
5. 厚生労働省統計表データベースシステム:第2-53表 有訴者の総症状数、性・年齢階級×症状別.(参照 2008/5/18).
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/youran/data19k/2-54.xls
6. 脇山得行:図説AKのテクニック, エンタプライズ,1995.
7. 中川貴雄:脊柱モーション・パルペーション,第3版2刷,科学新聞社,.1994年.
8. B.Calais-Germain, etal.:動きの解剖学Ⅱ:仲井光二訳.肩甲帯自体の可動性, 科学新聞社,1997.
9. A.L.Nachemson:American Academy of Ortho-paedic Surgeons Symposium on Idiopathic Low Back Pain.In White AA.,eds.The
natural cource of low back pain. St Lowis: CV Mosby,1982.
10.吉野和廣著:からだのねじれを正すと交感神経が整う、 ㈱たま出版、東京. 2017



桜カイロ院長
吉野和廣




















  


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2017年04月03日

良い姿勢と悪い姿勢のイラスト説明

腰痛、肩こりをはじめ、不健康になってゆく基本的な問題は、一番が食事ですが、さて二番は何になるでしょうか?

ご自身で健康を保つのに食事の次は、姿勢です。

日常を正しい姿勢で過ごすことは、生涯にわたり重要で、ご来院された方々に正しい姿勢のレクチャーを受けていただくことがあります。
その際に使用するパンフレットを、開示します。

どうぞご参考にしてください。

良い姿勢イラストA面

良い姿勢イラストB面




  


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2015年04月18日

交感神経機能障害は脊柱フィクセーションが関わるという仮説

皆様

 本日は星状神経節の機能が原因不明で亢進する理由として、頸椎フィクセーションが関わっているであろうというお話しです。


 腰痛や肩こりは、厚生労働省が掲げる医療分類の脊椎原性疾患に入ります。国民的と言えるぐらい多くの人がかかえる症状で、その原因には文字通り脊椎の問題が深くかかわっています。
 過去述べてきた骨盤の歪み、脊柱のフィクセーション、体幹の歪みの変化はバラバラで独自に生じるのではなく、体の補正機能と代償、あるいは代償と補填とも言える体を修復と崩壊にいたる内からの力がからんだエントロピーの法則によりもたらされると思います。
 以下の脊柱フィクセーションの発生と脊椎原性疾患発症の機序仮説を模式図で説明し、星状神経節問題もその一環です。


 骨盤を上から見た模式図で、矢印のように右側の骨盤が前方側に歪んでいます。わかりにくですよね。
右EX変位
図1 右仙腸関節はEX変位する:
 右仙腸関節のEX変位というのは、右側の寛骨が外方に歪み可動性は失われたフィクセーションを起こしたことを言います。

 EX変位の臨床データの裏付け資料は、四方山話の
2008年8月号 タイトル:「体の超過酷な部位、それは・・」、並びに
2008年9月号 タイトル:「体の超過酷な部位、それは・・(パートⅡ)」そして
2008年12月2日 タイトル:「骨盤のズレ その実態とは」
の詳細な解説をご覧いただければと思います。

 右仙腸関節がEX変位を生じることが脊椎原性疾患発症の発端となります。
骨盤がフィクセーション化するのは10歳代という若い年齢で始まっていて、それは左脳の優位性がからんだ左右の足の非対称性の運動機能の違いがもたらしていると考えます。

 長年の研究を費やして浮き彫りにすることが出来たのは、皆様が骨盤の歪み方を教えていただいたおかげです。ありがとうございました。



 右側の骨盤が前に歪むと、からだの右側は腰から上が前に歪むこととなります。
体幹左回旋
図2 体幹の左回旋:
 加齢に従い、一方的に右骨盤と右側の肩・体幹が前へ歪み、左側は後ろに下がることとなり、体を上から見ると左右の肩の向きは左回旋をするようになります。

 体幹が年齢に従い左回旋している臨床データは、四方山話の
2014年4月2日 「あなたも体は左へねじれている (パート2)」
に詳細に解説をご覧いただけます。



 体幹が左にねじれて来ると体は姿勢を安定にする作用が働きます。固有感覚受容器などの補正機能に基づいたもので、脊柱と姿勢に関わる筋肉が関わってきます。
脊柱右回旋補正
図3 脊柱と姿勢筋による補正作用:
 体の向きを変える筋肉は脊柱起立筋が知られますが、体幹の姿勢には脊椎に直接付着する横突棘筋群が働きます。図3の脊椎の左側にある姿勢筋を楕円形の斜線で表しています。

 姿勢筋というのは上下の椎骨間に連なり、下側の椎骨を土台に上方の椎骨を右回旋させて脊柱は右回旋します。
体の回旋を的確、正常に補正できる人は体幹を左回旋から中間位に近づくし、補正の力が強すぎる人は体幹を右回旋することもあると思われます。

 姿勢筋は収縮を長時間にわたり続けることは困難なことで、筋肉の機能は損なわれ自身では弛緩することが困難となり収縮したままの筋肉障害をもたらします。
脊柱右回旋変位
図4 胸腰椎のフィクセーション化:
 特に上部胸椎あたりの姿勢筋はこの状態に陥り、上部胸椎は可動性不全となり図4の赤色の椎骨はフィクセーション化します。フィクセーションは胸椎1番~胸椎2番が高頻度でしたが、これには胸郭の立体構造に起因します。
 全肋骨中でも第一肋骨が最も固定していることや全胸椎中でも胸椎1番~2番の回旋が最も大きいことなどが理由で、最大の負荷が掛かり回旋性のフィクセーションを生じます。

 脊柱の立体構造が変形するのは組織の中からではなく外形が湾曲し許容できない圧力を受け変形していくことや、脊椎はもともと独自の立体的な配置というものはなく、立体構造は体幹が過去に受けた負荷経験度に依存するとも言われるように、右の回旋変位を伴う脊柱が形成されたとしても不思議ではありません。
 
 左にねじれた体幹から逆方向に補正を行ういわば姿勢のホメオスタシスが働いて、体を安定化させるので、その補正は脊柱を代償性のフィクセーション化し、時間をかけて体の機能低下になってしまうように考えます。



図5 下部頚椎のフィクセーション化:
 頸椎の6~7番を黄色で表しますが、左回旋のフィクセーションを起こします。これは先に胸椎1番が強い右回旋のフィクセーション化しその結果、肋骨で支持されない頸椎7番は逆の方向のフィクセーションを形成します。

 下の椎骨がフィクセーションになると、上の椎骨は逆方向に歪むことを「カンパンセーション」と呼ばれる脊柱特有の歪みがあることがカイロプラクティックでは知られています。



 星状神経節は第8頸神経からはい出る交感神経の細胞が集まる代表的な節です。大きさが数ミリ程度で脊柱の前方側面の両側に付着しています。
下部頸椎と星状神経節
図6 脊柱フィクセーションは交感神経下位中枢を障害する:
 下部頸椎と上部胸椎が真逆方向の回旋性のフィクセーションを大変起こしやすく、この歪み方が星状神経節に物理的な圧迫をもたらせ星状神経節は亢進状態になってしまうものと推測をしています。

 図6で桜色の上端は星状神経節を表しますが、上部胸椎(赤色)と下部頸椎(黄色)間がフィクセーション化すると、付着した神経節と線維は伸張され物理的な伸展負荷を受けるので誤ったインパルスが発生し、遠心性・求心性のパルス活動が誤作動し続け臓器間との協調が失われ統合システムに障害を作り、星状神経節が関わる自律神経失調症につながると考えています。

 あるいは第1胸神経から第3腰神経程度までの各分節の十数個がつながり数珠玉状の交感神経幹節は脊柱フィクセーションが影響をもたらせていることが推測されます。

 それぞれの交感神経関節は神経線維を出し、頭部、胸部、腹部、四肢のすべての臓器、組織の隅々につながりますが、上下の交感神経節及び脳脊髄神経と接続しながら脳血管や心臓、腹部の臓器に信号を送り、また受け取り、臓器間の機能調節を統合する下位中枢なのです。



 以上が脊柱フィクセーションの発生と交感神経節の機能障害、特に星状神経節が亢進し続けるメカニズムを述べました。  


Posted by 桜カイロプラクティック at 18:18Comments(1)

2015年03月22日

星状神経節の問題をもたらすのは脊柱フィクセーション?

皆様

こんにちは。待ちに待った春の到来です。
到来とともにからだは動きやすくなるのですが、靭帯や腱は筋肉の柔軟性に追いついてこないので特に下半身は痛みが出やすく、不用意な動作は気をつけてください。

さて本日は、星状神経節の問題は脊柱フィクセーションがもたらせているという、お話です。

星状神経節というのは、からだの臓器の名称のことで、「不規則な星状のかたち」に由来し、下頸神経節とも呼ばれます。



どこにあるのか? 
場所は首の付け根にあり、正確には首の後ろの背骨を手で触り、一番出っ張る椎骨の前側の側面に付着しており、左右の対をなしています。
その椎骨の名称が胸椎1番(T1)で、すぐ上の頸椎7番近くにある方もおられます。
前回お話した「星状神経節とフィクセーション並びにブロック注射」をご覧ください。

交感神経節は、脊柱の前面の左右両側にあり、星状神経節を含め全部で20数個が対で付着し、各神経節は神経線維で数珠玉のように上下に連なり、交感神経幹節と呼ばれます。


星状神経節の役割とは?
字のごとく神経のことで、からだの不随的な機能を主として亢進する自律神経の交感神経です。
星状神経節は、直接的には心臓、眼や肺機能を支配し、さらには星状神経節を経由する神経繊維の末端は全身皮膚まで行きついています。

心臓・肺・上肢などは複数の節前線維が神経節で交代し効果器につながり、複数の節前繊維は神経節を素通りして大動脈壁の内臓神経叢で交代し、効果器につながっています。
星状神経節は脊髄から外に出ているので末梢性の神経系に分類されますが、自律神経の第2次中枢であり、交感神経の元締めを行っています。



交感神経幹節の重要性とは?
星状神経節は「末梢神経の中枢」というまだわかっていないけれど交感神経節の重要性に触れます。

交感神経が信号を目標臓器に到達させるには、神経細胞が電気を発火させ、神経を乗り換え、神経線維を通じ電気刺激を臓器に送っています。信号は流れ続けているのではなく、一分間の間に何回かの信号を規則的なリズムにして送ると想像しています。

臓器は刺激を受けてアドレナリン分泌や平滑筋の弛緩を生じ、臓器や体液平衡の情報を知覚神経線維を通じて逆に各交感神経節に信号を送り返すフィードバック機能で情報の交換をしています。

循環器系、消化器系、泌尿器系、内分泌系など臓器からそれぞれの経路で送り返された反射信号は、それぞれの交感神経節を上下向し、交感神経幹節が臓器間の信号調節を行っており、交通信号指揮所の元締めが星状神経節と思われます。

星状神経節は再び信号を各臓器に送り、臓器間は統合・調節され、からだの平衡を維持する大変重要な役割をもっています。

知られる反射はたとえば、体が「暑い・寒い」、皮膚が「熱い・・」の感覚情報は脊髄反射だけでなく、皮膚の毛細血管が拡張・収縮、発汗、立毛筋の緊張による毛の逆立ちなどは交感神経の反射反応ですが、交感神経幹は不随意性の体機能の双方向の伝達調節をしていると思われます。



星状神経節の具合が悪くなると、からだにどのような問題が起こるのか?
星状神経節が関わる病気とは、大脳の血管、心臓の自律機能に直結するような問題なので、想像を超えるのですが、「自律神経失調症」、「パニック症」、「起立性低血圧症」を思い浮かべます。
さらにペインクリニック科からインターネットに発信掲載された内容を抜粋して書き並べますと、
帯状疱疹、片頭痛、筋収縮性頭痛、群発頭痛、顔面神経麻痺、網膜色素変性症、視神経炎、緑内障、飛蚊症、アレルギー性鼻炎、突発性難聴、メニエール病、耳鳴、嗅覚障害、レイノー症候群、バージャー病、頸肩腕症候群、外傷性頸部症候群、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、頸椎症、強皮症、関節炎、多汗症、肩こり、小児喘息、痔核、便秘、不眠症、冷え性、自律神経失調症など・・
有用性は期待されています。

ごらんのように、これら症状や病名は、内科、外科、整形外科、婦人科、小児科、循環器科、眼科、皮膚科などほとんどすべての診療科につながるもので、それぞれの発症原因は不明ですが、治療には自律神経を干渉する方法を取り入れることが有効とされることになります。



星状神経節の具合がどのように悪いのか?
ペインクリニック科で行われるブロック療法とは、星状神経節に局所麻酔薬を浸透させて、神経そのものの機能を一時的に麻痺させる方法で、麻痺させることで星状神経節を抑制し、痛みの伝達をブロックする機序とされています。

また星状神経節レーザー照射療法は、ブロック療法と同じ目的ですが、こちらはレーザーを星状神経節に照射することで、星状神経節を通じて自律神経系の上部中枢に刺激を与え、その結果、全身の交感神経系に作用して血流改善、様々な病気や症状が改善される考え方も加わります。

これらの療法は星状神経節の興奮状態の改善を目的とされていて、機能亢進を一度リセットするように思われるのですが、おわかりのように、星状神経節の問題とは星状神経節の機能亢進の閾値が正常な域に戻れないことにあると思います。


交感神経幹節が統合機能を果たせなくなると、交感神経節は信号を一方的に発信し続けてしまい、信号を受け続ける臓器は休むことができず疲弊し、時間の経過とともに臓器ごとの多様な病気をもたらせていると考えています。
交感神経と臓器間のフィードバック機構(?)を失うことがからだの大問題になってしまうものと想像しています。



星状神経節機能が亢進し続ける原因とは?
星状神経節の機能が亢進し続ける症状を、「星状神経節の機能亢進症」と名称を付けてみます。
「機能亢進症の理由」は、ペインクリニック科では不明となされています。
機能亢進の理由は不明となされたままなので「機能亢進症」の根本的な治療方法の手がかりは手探りの状態でしょうか。

この点について私たち手技療法者の考え方は、簡単明瞭です。
それは星状神経節が付着する下部頸椎と上部胸椎あたりの脊柱が歪むことで、星状神経節を含め交感神経幹節、神経線維が物理的にねじれや圧迫されることで、交感神経幹が機能亢進をもたらすと推測しています。

その裏付け理由は、星状神経節のブロック療法を適応とされる方は下部頸椎と上部胸椎がほぼ間違いなく歪んでいることを熟知しています。歪みは手技による補正施術で、症状が軽減することを日常的に接しているなどがあげられます。
この歪む状態のことを「脊柱フィクセーション」と呼んでいます。



「脊柱フィクセーション」とは?
フィクセーションとは、関節の可動性が失われた状態のことを言うのですが、前回の四方山話に解説を行っていますので、そちらをご覧ください。

下の模式図は脊柱を後ろから見た像です。
下部頸椎上部胸椎のフィクセーション


黄色が頸椎6番と7番ですが、左回旋をしたままで止まりフィクセーションした状態で、正常な配置ではないことを表しています。
その下の桜色は胸椎1番と2番で、フィクセーションしているのですが右回旋をして止まった状態を表しています。

このように頸椎7番と胸椎1番がフィクセーションする時には、真逆の方向に歪んで固定化されてしまいます。しかも脊柱の中でも大変歪みやすい箇所であり、ほぼすべての方は症状がなくてもフィクセーションを起こしています。
星状神経節が対となって付着している脊柱が、この真逆のフィクセーション化を起こしやすい場所です。

模式図には中部から下部の桜色をした数カ所の胸腰椎も右回旋のフィクセーション化している様子を表します。

フィクセーションは、星状神経節、脊髄神経との共有・接続部位を圧迫や伸長による物理的な干渉することで、交感神経幹節は興奮をし続けることとなります。

「星状神経節の機能亢進症」があるかないかとは、フィクセーションの有無の違いではなく、脊柱フィクセーションの強弱の違い・機能亢進の感受性の違いがもたらしていると考えています。



フィクセーションの開放は、交感神経幹節の上下の過剰反応を消去し、数珠玉状に連動する交感神経節の電気的な流れをリセットし、交感神経の過緊張を緩め、全身の血行改善を行い、酸素や栄養分と共に、自然治癒力を助ける免疫物質を全身に供給すると予測しています。


次回は、脊柱フィクセーションが起こる理由についてお話します。
  


Posted by 桜カイロプラクティック at 17:45Comments(0)

2015年01月15日

星状神経節とフィクセーション並びにブロック注射

皆様
ご無沙汰をいたしました。

前回までのお話は、「からだは左回りに回旋の歪み・ねじれ」 について、分かったことを述べさせていただきました。

それは、来院された300人以上の方について、左右の肩の位置を調べると、左と右は水平でまっすぐな方、左が後方で右が前方の方、その逆の方もおられるのですが、統計的に判定すると、健康な人であっても多数方の体幹は左回りにねじれています。
健康体と脊柱

からだを真上から見た模式図3枚をご覧のように、上図は左肩が後ろで右肩が前方の典型的な左回旋を表しており、二番目の図は逆方向のまわり方をされておられます。
体幹が左回りす方が多い理由は、右の骨盤の歪み方が前方の方向によるという仮説は、これまでにデータを交え明らかにしましたので、具体的にはそちらをご覧ください。


そして本日からのテーマは、体の中心軸、脊柱についてです。
からだのねじれは脊柱に問題を起こしているのですが、現象的にはつかんでいるのですが、問題を起こす理由?、正体とは?、推測も出来ませんでした。

臨床研究を18年間かけて、ようやく、脊柱問題について、ようやく理解を深め流れをつかんだように思います。

中心軸である脊柱のねじれは、中心軸のゆがみはからだと同じ左回りの方向ではなく、右回りに歪んでいます。
先ほどの模式図、2番目と3番目の図の頭の中央に桜色をした十字型の像が脊柱を表し、右回りしています。

複雑ですよね。からだと脊柱のねじれる方向が逆方向であるとは・・


この脊柱の歪みは、骨が可動性を失った状態なので、フィクセーション(Fixation) といいます。
骨は正常な位置から歪んでいることが多いので 変位(Dsplacement) とも呼びます。

脊柱の歪みは、固定された椎骨が歪んでいるので、フィクセーションを起こし変位している わけです。
解説が回りくどいですね。 性格です。

二つの用語は、同義語的に用いられますが、骨がゆがんだ方向を意味するときには変位と称します。

もう少し、フィクセーションの説明をします。
図4は、からだを後ろから見た脊柱を表し、脊柱は(桜色)はフィクセーションし歪んでいます。脊柱は均一に歪むのではなく、バラバラにあらわれるようです。


脊柱フィクセーション
なぜ、からだはそのようなフィクセーションを生じるのか、というのはこれまでにお話ししましたシリーズに書いてきました。
ここでは略します。

フィクセーションの状態を簡単に説明したいのですが、模式図5に表しました。

胸椎2番がフィクセーションし、右回旋の変位しているのですが、椎骨の右側の筋肉が強く緊張をし続けていることが理由で、変位しています。
すなわち、フィクセーションとは、椎骨に付着する筋肉が緩むことなく収縮をし続ける状態を表します。
また、筋肉以外にも外的な力が椎骨に加わりフィクセーション:変位を起こすことも中にはありますが・・
強靭なフィクセーションのことを、カイロプラクティックでは、サブラクセーション(subluxation)と別格の扱い方で用いています。

そして、本日のタイトルは「脊柱の歪みとブロック注射」
そのつながりとは?


専門的な用語も使うので、模式図をお示しし説明を加えながら進めます。

まず、背骨と首の付け根の構造をお示しします。
首は頸椎(C1~C7)が7個、胸部は胸椎(T1~T12)が12個、腰部の腰椎(L1~L5)は5個と仙骨、尾骨と区別され、これら全部を脊柱と呼びます。

脊柱は連続して曲がるのですが、自由に動くのが頸椎で、動きが鈍いのが胸椎です。
胸椎は内臓を抱え込むため肋骨をカゴ状に配置するので動きにくくなっています。

さて、動けない胸椎、特に1~3番はほとんど動けません。
一本でつながる脊柱とは、構造部位でみると動けるか・出来ないかの特徴があるわけです。

脊柱の椎骨と肋骨を下図に表すと、
胸郭と下部頸椎カラー説明入り


色分けした黄色が頸椎で、上がC6で下がC7番、赤色は胸椎で上から3個がT1,T2、T3、胸椎の横には肋骨の一部があります。

その特徴を表す部位は、首の付け根なので、頸椎と胸椎の境目です。

頭は体幹の上ですが、正確には、頭がい骨を頸椎が支え、頸椎を胸椎と胸郭が支えています。

首は、からだの中でも多くの管状の器官で混み合い、解剖学的には脊髄神経、動脈・静脈、交感神経、脳神経、食道と気管が走行し、特に脊髄神経と交感神経節は絡み合い繊細に構築された重要な通路であり、境目です。

本日初めて、星状神経節 を取り上げます。

聞きなれない用語の、星状神経節とは?
からだには神経が張り巡らされていますが、神経の細胞や線維が集まった中継点にみられる塊のことを「節」と呼びます。
大脳は巨大な節中枢でしょうか・・

神経は筋肉を動かしたり、知覚を感じたり、そして臓器を動かすように運動神経と感覚神経そして自律神経があります。
自律神経は、内臓をはじめ全身の血管、皮膚の機能、文字通りからだの自律にかかわるすべての働きを支配・調節するのですが、例えば心臓の鼓動の回数を増やすのが交感神経で、ゆっくりするのが副交感神経です。
よく耳にする交感神経のことです。

交感神経の中枢は脳幹より上位の視床下部にあり、そこから交感神経の細胞が線維を出して心臓までつながります。
交感神経細胞の線維は脊髄を通り、胸椎T1番から腰椎3番あたりまでの個々の脊髄神経から出てきて、脊柱の側面に交感神経の細胞と線維の塊を作ります。
その塊の代表格が星状神経節と呼ばれるものです。

模式図では、黄色で示した数珠玉のような塊が5個ありますが、一番上の塊が星状神経節です。
星状神経節

星状神経節はからだの首の根元に両側にあります。
交感神経幹節は脊柱に沿って付着し、交感神経節の数は十数個の数からります。
十数個のそれぞれの神経節は重複しながら自律にかかわる働きを行い、星状神経節が支配する臓器とは、頭・顔面・首・上肢・胸・心臓・気管支・肺と循環器機能など。


自律神経が関わる病気とは何があるか、「自律神経失調症」、「パニック症」、「起立性低血圧症」を思い浮かべます。

星状神経節が関わる病気とは、大脳の血管、心臓の自律機能に直結するような問題なので、想像を超えるのですが、下記のリストは、インターネット上で公開されています。
例えば、
帯状疱疹、片頭痛、筋収縮性頭痛、群発頭痛、顔面神経麻痺、網膜色素変性症、視神経炎、緑内障、飛蚊症、アレルギー性鼻炎、突発性難聴、メニエール病、耳鳴、嗅覚障害、レイノー症候群、バージャー病、頸肩腕症候群、外傷性頸部症候群、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、頸椎症、強皮症、関節炎、多汗症、肩こり、小児喘息、痔核、便秘、不眠症、冷え性、自律神経失調症など・・

これらの病名や症状は、ペインクリニックがインターネットに掲載された内容を抜粋させていただきました。

星状神経節の自律機能を考えた時、現代医療の考え方は、星状神経節問題はこれらの病気を軽減する可能性を持つ臓器の考え方に基づいていると思います。

ペインクリニックで行われる星状神経節の治療法が、ブロック注射、やレーザー光線照射と呼ばれる療法です。
そのメカニズムは、機能亢進、過剰な興奮状態の星状神経節を正常な状態に戻すことにあり、神経節の周囲に局所用の麻酔剤注射を行い興奮を抑え、レーザー光線照射で同様に興奮を鎮静化させる機序とされています。

星状神経節は自律機能の親玉のような節なので、それが過剰な興奮状態が続くことは、からだに多様な症状をもたらせるのです。

現代医療では、星状神経節が興奮する原因は不明とされていますが、自律神経失調症、頭痛や頸部痛をはじめ血流の改善目的に適応され、多くの方が治り、立ち直られているのです。

さて、不明とされるその原因、
興奮し続け正常に戻れない星状神経節、どうやら頸椎と胸椎の境目のフィクセーションにヒントがありそうです。


次回に続く。

桜カイロプラクティックをどうそよろしく。
院長 吉野和廣
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Posted by 桜カイロプラクティック at 15:15Comments(0)

2015年01月06日

2015年年頭にあたり

皆様

2015年、新年にあたり年頭のご挨拶を申し上げます。



今わが国の人口構成が大きく変わろうとしていて、

今40歳代で働き盛りの人が20年経った時の、2060年人口統計が出ています。

20年後のその頃は、人口数は今よりも3割も減少し、人口の65歳以上が4割だそうです。

ちょっとさきの20年後のことです。


私も本年が65歳です。

数年来、眼を悪くしていて、コンピュータの画面も見ることがつらいこともあり、このブログも遠ざかっていたのですが、

若い時とは違い体の変調を感じ、実際に具合が悪くなることで、

高齢の身であることを受け入れさせていただくこととなった本年初投稿です。


私たち人は、高齢者が寝たきり生活にならず、あったとしても短い時間の範囲でぎりぎりまで、

「ぴんぴんコロリ」といわれるような、いきいきとした生活を送れるようになりたいものです。


桜カイロプラクティックは、体の歪み、脊柱の歪み問題についての先駆的立場にいるつもりです。

高齢者の体問題はこの「歪み問題」根っこにからんでいるので、知識と技をさらに磨き、

皆様に提供させていただき、多くの人と健康長寿社会になれるよう努力します。

痛いところがなく、よく動きける健康な体、豊かで許しあえる心、

充実した生活につながるよう皆様の後押しをしながら歩む所存です。



桜カイロプラクティックをどうぞよろしく。
院長 吉野和廣
  


Posted by 桜カイロプラクティック at 19:19Comments(0)

2014年04月02日

あなたも体は左ヘねじれている (パート2)

皆様 今日は

背筋が伸びたきれいな姿勢を保つということは、普段そうである人にはごく自然なことなのに、情報端末の特に手のひらサイズ画面を覗くことの多い人にとっては頭は前に傾くため猫背になりやすく、ますます良い姿勢は困難なこととなって来ました。
10代の危機です。

背筋が伸び、体の歪みについて、長年得られた体の歪み方のデータを分析し資料として情報公開を行っています。
本日は姿勢の分析についてで、どうぞお付き合いくださいませ。

【なぜ姿勢分析を行うか】
体部位の用語で、頭や手足を含まない体を体幹と呼びます。肩は肩甲帯、肩の先端を肩峰(けんぽう)と呼びます。
体幹肩甲帯


施術の効果を高める目的で患者さんに撮影台に立っていただきデジタルカメラで姿勢を分析して18年になりますが、この研究を開始したころ、デジカメが発売され購入したのはCAS社製で金額は5万円、画素数は30万画素程度のわずかなものでした。今は1,500万画素で大変な高性能になっています。
姿勢分析は患者さんの体の具合が悪い筋肉を探すことにつながるのですが、体調が良く健康な方の肩位置は片側が前方で反対側は後方の非対称の方が大勢です。その歪みは問題の種を持つのですが、でも健康です・・
そんなことがわかってきました。

前回の四方山話は骨盤の問題で、「健康と考えている半数以上の健常者は右の骨盤が歪んでいる」を思い起こしていただくと、あるいはそのことが理由で右側の体幹が下図のように前へ歪んでいても不思議ではありません。
体幹健康体骨盤


姿勢を研究する分野で、体の横から見て肩甲帯を計測する情報は数多く知られるのですが、体の横断面における左右の回旋に関する情報は調べた限りではまだないようです。

日常に肩甲帯が左右で非対称の位置にあるなら、姿勢は不安定となり腰痛、肩こりをはじめ多くの有訴症状をもたらすので体が恒常性を維持するためには大きなマイナス要因です。左右の肩甲帯位置は人それぞれが無秩序にバラバラで非線形的な個人だけの問題なのか、あるいはそうでなく規則的に秩序を持って線形的な問題を抱えているのかどうか、脊椎原性動物であるのヒトとしては大変興味のあるとことです。そこで調査を行うことにしたわけです。

方法は同じ年齢層の方を一集団として10歳代、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代と60歳以上の6グループの同じ位置を計測します。体が回旋しているのかどうかは年齢の推移と肩位置との関係を調べることで明らかになります。


【体の左回りとはどこを云うのか】  
 体の左回りについて説明しましょう。
下図は体幹を真上から見ています。
体幹横断面正常左回旋
理想的な像を示し、水平に引いた左右位置の先端が肩峰、左右の肩甲帯位置は対称性の位置にあり回旋はありません。
一方、下図は左回りを行っています。左肩位置は水平線よりも後方で、左右を結ぶ点線は左が右よりも後方に傾き、左右の肩甲帯は非対称の位置にあり、体は左回旋しています。



【肩甲帯位置の調べ方】
では実際に300人の肩甲帯位置を測定した結果を示します。

肩甲帯位置の測定方法
矢状面肩甲帯の位置計測は、矢状面の頸部前後厚径の中央位置から片付根前後厚径の中央位置までの距離を次のような方法で計測します。写真撮影台は黒色壁に白色の垂直線と、床は20㎝四方を四分割したラインを描き、立位の左側の矢状面像をオリンパス社:E330デジタル一眼レフカメラ、画素数3136×2352で撮影します。被験者はカメラレンズから真横を向いた状態で立ち自然体で背筋を伸ばした立位姿勢を撮ります。撮影後、反対側に向いていただき右側の矢状面像を撮影します。
○画像の加工
立位像は、コンピュータ(CPU;2GHz,RAM;256MB)を用い画像加工ソフト;フォトショップを垂直像に修正し、編集ソフト;ページメーカーを使い測定を行います。
○左矢状面の理想重心線の決定
まず左矢状面像の頸部付根辺りを拡大し、頸部付根の斜め前後厚径(前は頸部と胸部の境目、後は胸椎1番棘突起の表皮)を計測しその1/2位置を頸部厚径の中央点(0㎜)と定めた。頸部付根厚の中央点は理想鉛直線が通過する位置と定義した。
○左肩甲帯位置の測定
同画像は肩峰辺りを中心にし、肩関節の前後を読み取り厚径を計測した。前後厚径の1/2位置を肩峰の中央点と定めた。
左肩甲帯位置は頚部付根厚の中央点から肩峰中央点までの水平線上の距離で表した。頚部付根厚中央点から屈曲位側を正数値、伸展位側を負数値とし、実数値(mm)に換算した。
右肩甲帯位置も同様の操作で求めた。
肩甲帯位置測定法
日本カイロプラクティック徒手医学会誌、2011年、Vol.12、p.58-64.


【体幹は左回旋している】
では測定した結果をお示しします。
健常者、腰痛者及び肩こり者の肩甲帯位置の平均値と標準偏差を下表に示します。標準偏差とは値の散らばり具合を表す指標で偏差値が小さいほど平均値の信ぴょう性は高くなります。

300例の左右肩甲帯位置

健常者の左右位置はそれぞれ-6±9.7㎜、0±8.9㎜です。腰痛者は-4±10.8㎜、-1±11.2㎜で、肩こり者では-2±11.6㎜、4±9.7㎜でした。肩こり者は健常者よりも有意に前方(屈曲位側)にあることが分り、有意の差があるというのは2群の位置は明確に違うことを示しています。
左肩甲帯は3群ともに後方(伸展位側)にあり、右位置は中間位から屈曲位側で、左右の位置関係は統計的に離れています。腰痛者と肩こり者の左右位置は正の相関性を持つので、左回旋しています。



次に10歳代から60歳代以上の各年代の平均値を見ます(下図)。
健常者では10歳代の左右位置は0±4.3mmと2±6.9㎜でした。20歳代以降では、左位置は数ミリ伸展位に後退し、右位置もわずかに後退です。30歳代の左右位置は統計的に違いがありました。
腰痛者の10歳代は-2±9.0mmと1±7.4㎜でした。20歳代以降では左右はバラツキながら後退しています。60歳代以上の左位置は10歳代~40歳代の左位置よりも後退し、60歳代以上の右位置は20歳代の右位置よりも後退していました。
肩こり者の10歳代の左右位置は9±13.4mmと11±7.7㎜の強い屈曲位側でした(下図右)。20歳代以降では左右位置はバラつきながら後退です。20歳代、40歳代及び60歳代では左位置は右位置よりも統計的に後退し、60歳以上の左位置は10歳代~30歳代の左位置よりも後退しています。
10歳代の左右体幹はともに屈曲位側にあることが分り、肩こり症はかなりの屈曲位へ歪んでいる様子も判明しました。20歳代に入ると頸部基点の前方側から後ろ側に下がり、右肩甲帯よりも左肩甲帯が大きく下がっていきます。3群とも同じ傾向で60歳代以降まで下がっていきました。
特に肩こり者の体幹の歪み方は大きく、肩こり者らしい推移であったように見えます。
300例健常腰痛肩こり者左右肩甲帯位置年齢変化


年齢と左右位置の関係を見ると、腰痛者では年齢と左位置の間で負相関を、左右の位置間で正相関を検出しています。肩こり者も年齢と左位置の間で負相関を、左右の位置間で正相関を検出しました。

健常者と有訴者の年齢別に置ける矢状面の左右肩甲帯位置を調べたところ、体幹の左回旋が関わり体の左右非対称とする本質的な問題がありそうなことがわかりました。


【退行性の体幹左回旋と体型変化】
ここからは図表に描かれた値の違いをどう読み説くか、科学的な言葉では考察を行うと云いますが、測定値を基にして体内で何が起こっていたのかを推理してみます。
20歳代を過ぎるころから加齢に伴う変化として体機能の多くはピークを過ぎ下降に推移することが知られますが、左肩甲帯が年齢とともに後方側へ移動していく変化と重なります。
加齢に従い身体的特徴の変化として、身長は加齢に従い低くなることはよく知られることですが、逆に加齢に従い矢状径と云って胸部の前と後までの胸板厚みの距離は増えることはあまり知られていません。高齢者男女(60歳以上)と若年者(18-30歳)の矢状径を比べると、平均16mm厚くなるそうです注10。これは解剖学的には年齢が増すと胸部体幹は矢状面で前後に膨らみも増すということとなります。
本研究の60歳代の左右肩甲帯は頚部鉛直点から後方側へ移動することと重なり、補填と年齢の増加が連動し胸部の立体構造を歪めて行くように思われます。
一般的に高齢者になれば10代の頃の軟部・結合組織、筋肉群の柔軟性は減少し、体幹の左回旋負荷は生涯続き、姿勢安定性を確保しつつ左肩甲帯は伸展位側へ流れて行くと推測します注5。
脊椎分節運動を制限する上下椎骨どうし間の骨棘化、椎体内で生じる結合組織の肥厚などは補填による弊害とも考えられ、椎間関節腰痛症注11や脊柱間狭窄症注12など局部性の強い症状を呈するのではないでしょうか。


【10歳代の健常者と肩こり症の矢状面姿勢】
健常者は右仙腸関節の外方変位を起こす年齢は10歳以下では不明ですが、10歳以上ですでに存在していることを確認しています。

左右位置は屈曲位で回旋様相を示していない理由は、椎骨の特徴的な横突起や棘突起の先端、椎体の上面・下面の骨化形成は10歳代に表れ、骨化融合注18は20歳になってから表れるとされるので、成長期の脊柱の柔軟性がもたらせたのかも知れません。

あるいは10歳代以上の健常者は右外方変位があるにもかかわらず左右位置は中間位を保っていたのは、左回旋の負荷に対する脊柱筋肉群の収縮による内在的な抵抗力のような働きがあり、それは体幹の左回旋に対し、体は反射を起こし脊柱を回旋させて中間位に補正させ、若年者における姿勢恒常性は良い環境にあると想像しています。

未成年の肩こり症のお子さんは自分の意志で来院できないので御両親が連れてこられます。強い肩こり症のためスイミング教室に通ったけれどぱっとしないので来院されたケースもあります。学童年齢で肩こり、頭痛や腰痛の症状は増えてきており、筋骨格系疾患者の問題を抱えているお子さんの将来は両親の愛情にかかっています。

肩こり症で受診された10歳代の年齢と左肩甲帯に位置との相関性を調べました。
有訴者10代と左肩甲帯位置散布図

横軸にお子さんの年齢、縦軸には左肩甲帯の測定値をとり、それらの相関性の有無を調べました。その結果、年齢と左位置とは負の単相関関係を持っていることがわかりました。年齢が増すと左位置は後方に下がるという結果です。10歳代の肩こり、頭痛を抱えるお子さんの辛さが左右肩位置の歪みに見えてきます。

姿勢に関わる現代科学は、体に生じる機能制限を基軸とした姿勢障害後に対する対処方法が中心となっています。本書に示す健常人は左回旋のねじれを有していてそれに対し姿勢は逆方向の補正を行うと云う概念はありません注20,21。
体幹の左回旋をもとに補正機能というものを想像してみます。
過少・過剰な補正があるとすると、体幹構造は健康的な歪み方よりも強調された強い変化をもたらせ、肩こり症だけでなく多彩な有訴症状の原因に関わることが想像できます。
右寛骨の外方変位、自己調節能が適切でないために起こる過不足の補正、代償を伴い補填に変わる構造変化が神経筋肉骨格系疾患の発症に関わると考えています。
安定を保っていた姿勢が何らかの原因で歪んだり不安定になれば、体の中では関節や腱、内耳の固有受容器が姿勢中枢に信号を送り、中枢は姿勢に関わる筋肉に安定な姿勢をもたらします。左回旋した不安定な姿勢を補正する筋肉は椎骨の固有背筋で、脊柱を右回旋の方向に補正すると推測しています。この補正の考え方は次回の四方山話に続きます。

まとめ
1) 10歳代の健常者における肩甲帯の位置は中間位から屈曲位側にあり、左右は対称性に位置すると推測される。20歳代以上になると左肩甲帯は伸展位に移動し、左右位置は非対称性になった。加齢に従い左右肩甲帯位置は頚部鉛直点から後方側へ離れた。
2) 腰痛者の肩甲帯位置は健常者との差はなかった。
3) 10歳代の肩こり者の左右位置は健常者より屈曲位にあった。20歳代以上になると健常者の推移と同じであった。
4) 有訴者は左肩甲帯位置と年齢との間に負相関を、左右の位置間で正相関を検出した。


桜カイロ
院長 吉野和廣
  


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2014年01月06日

骨盤の歪みとはどういうことを云うのか?

本日より仕事始めの方、すでに始めておられる方の皆様
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしく申し上げます。

 さて、年頭の桜カイロ四方山話は、
骨盤の歪みとはどういうことを云うのか?です。

 近頃では 「骨盤の歪み」 が健康雑誌に取り上げられることからでしょうか? 
来院される依頼者も歪んだ骨盤を正しく矯正してほしいとの問いかけを受ける機会も多くなりました。
当院もそこに書かれている内容に興味を持つのですが、特集と題する中身は骨盤がどのように歪むのか紹介されてないようで、そのどれを覗いても正しく啓蒙的な資料としては誠に乏しいのが実情のようです。
四方山話では、過去に記載していますが、今一度ここで触れて見ることにしました。
本日は、骨盤の構造を基にした歪むことのお話です。

縦向きと横向きの脊柱
 現代人の手と足は、四足歩行動物の前足と後ろ足が進化したものです。図1はヒトが犬を連れて散歩しているレントゲン画像の模式図です。四足歩行の場合、前足で頭部・胸部を、後ろ足で腹部を支えます。対する二足歩行では当然の事ながら全てを後ろ足(足)で支えます。
骨盤人と犬



 四足と二足のもう一つの大きな違いは、四足は脊柱と骨盤が横方向に配置され、二足は縦方向に配置されていると云うことです。横方向よりも縦方向の方が力学的な問題を増やすことになります。
 
 ヒトの内臓というのは重たいもので、四足の場合は昔のお姫様が乗る駕籠を想像していただくと横棒が脊柱で駕籠に乗るお姫様が内臓です。
力学的には上下運動に対する横軸方向が課題になります。対する二足は縦軸の前方に内臓が配置されるので自重のバランスを保つために胸部は後彎(こうわん)を強いられ、胸部が後彎すると腰部は前彎(ぜんわん)、仙骨は後彎、頸部も前彎とS字状の連続性に複雑な構造になります。
 二足歩行は脳が大きくなる代償として脊柱は前彎と後彎、左右側への側屈と回旋の3軸方向に不安定性をもたらしました。
人類の先祖が二足歩行を可能にしたのは骨盤が大きく発達したからで、ヒトの骨盤と頭の大きさは、他の哺乳動物と比較するとかなり大きくなりました。さて次に骨盤のお話をします。


骨盤と仙腸関節の構造
 骨盤の構造と機能について記載します。骨盤は下腹部にあり脊柱を支えていますが、日常生活において骨盤について気にかけたことあるでしょうか?
骨盤と仙腸関節
 図2は下腹部を形づくる左右の寛骨と大腿骨を示しています。大腿骨は寛骨の股関節で支えられ、寛骨の前面側の先端は恥骨で、左右寛骨は恥骨結合で強く結ばれ安定性を高めています。
寛骨の後ろ側中央は開いていますが、ここに仙骨が挟み込まれるように入り込みます。



 仙骨の大きさは大人の手のひらのサイズと同じぐらいで、仙骨の上に腰椎が連結します(図3)。
 
 図2の右足側の寛骨の内側は小さく黒色で塗りつぶし、また図3の仙骨右側の側面も黒色で塗りつぶしましたが、塗りつぶした部位どうしが連結します。連結する部位が仙腸関節です。


 図4は仙骨と寛骨は合体した骨盤を示しています。骨盤は底がない洗面台のシンクの形状をイメージしていただければと思います。



大きな問題を抱えていながら取り残された仙腸関節
 仙腸関節は仙骨と寛骨とが縦方向の水平関節であり、一見可動性に乏しく正体が分かりにくい関節といわれます。
その動き方は寛骨と仙骨は逆方向の回転運動を行いながら腰椎が連動して動くことを解剖学書:グレイの解剖学、カパンディ 関節の生理学は解説しています。
 ところが本邦の主な解剖学書には仙腸関節は矢状面の動きを解説したものや、ほとんど可動しない安定した構造体と記載されたこともあり、これらの混乱が仙腸関節の問題が置き去りにされた理由であると思います。
 人類は四足歩行をしていた頃の骨盤を今も抱えたままで、進化の途中なのかも知れません。体性機能障害が起こる中で一番大きな障害とは仙腸関節の問題であり、この問題が神経筋肉骨格系疾患発症の要因に大きく関わっていると考えています。

骨盤体操はおすすめ出来ない理由
 腰痛、肩こりの改善に骨盤回しや骨盤体操などがあるようですが、骨盤の歪み方は後で述べますように3軸方向の歪みが両側寛骨にあり、左右は逆方向に歪んでいます。このため例えば立った姿勢で腰を右に回すと骨盤の動きは左側と右側の寛骨は右回りになり、左が補正されても右は逆に歪みを増しています。左右の寛骨の変位方向は逆方向にあるので腰を回す行為は悪化につながる可能性があります。

次回に続きます。
  


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2013年12月06日

骨盤の歪み・脊柱の歪みとエドガー・ケイシー

皆様 今日は。

体の歪みの続きです。

本日は「歪みとは」について、エドガー・ケイシーの見解も触れてみたく思います。

脊柱の歪み問題が多様な症状を作る。

体が歪んでくるのは一見、日常の悪い姿勢や、偏った動作でもたらされるように思いがちですが、筋肉だけではなく姿勢にかかわる関節の歪みに問題があることが分かります。

その関節の歪みとは腰がクの字に曲がる極端な歪みとは異なり、脊柱と骨盤の関節が生理的な範囲で可動性を失い固定された状態を云います。
関節の可動性不全のことを私たちはフィクセ-ション:変位と呼びます。


脊柱は変位すると云う現実に起こりうる症状について現代医療は重きを置いていないので、歪みの問題は医療で取り残された存在です。

もう少しフィクセーション:変位 の説明をします。

変位は解剖学的に三つの段階に分けられ、最初は背中の筋肉が過緊張を生じたために起こる関節の固定で、安静やマッサージを施すことで回復します。

二つ目は筋肉がさらに硬くなり安静だけでは回復できない第二次変位です。
筋肉は外から積極的な刺激が加えることで初めて弛緩し椎骨は正常位置に戻ります。姿勢の補正機能が関わる変位です。

三つ目は補正が長期間続いた結果、上下の構造体が退化し関節が癒着する変位で、椎骨の可動性は喪失し固定した位置で姿勢を保つので補正と云うよりも補填です。

これらの変位は姿勢に歪みをもたらすだけでなら腹部や腰部を圧迫する支障ですみますが、歪みが脊柱に配置される神経の流れを乱す時が大きな問題となります。

運動機能や内臓機能に携わる脳脊髄神経と交感神経は脊柱に神経繊維束と神経節を縦方向に走行させています。

見過ごされやすく大変重要なことで交感神経節は脊椎ごとにネットワークを作り命令系統の異なる神経系と情報を交互に交換しています。

現在の神経学では交感神経の中枢は視床下部ですが、エドガー・ケイシーは交感神経節自体が最も大きな役割をもたらすと指摘しておりこの点が大きな違いです。

エドガー・ケイシーのことは四方山カイロ話に何回も話題にしておりますようにとにかく特別な人です。

話はそれますが、エドガー・ケイシーはカイロプラクティック並びにオステオパシーの歴史と深くかかわっているのですが、それは、1800年から1900年代のことで、エドガー・ケイシーとカイロプラクティックの創始者のダニエル・パーマーと子息のBJ・パーマー、そしてオステオパシー創始者の医師であるアンドリュー・スティルが米国内で同じ時代に生きそれぞれ活躍した人たちで、お互いに交流があった記録も散見されます。
話を戻しますが・・

交感神経の過剰な興奮や抑制は脊柱の歪みが関わっているわけで、
椎骨変位の中でも脊髄神経根を圧迫する変位がありカイロプラクティックでは特にサブラクゼイションと定義し変位の中でも別格扱いしています。経験的にはむしろ頻度が多いのは一般的な変位です。

エドガー・ケイシーも椎骨が原因となる障害として触れていて、エドガー・ケイシー財団(米国)が保管する医療リーディング記録について、当院はインターネット回線で記録を検索できるので調べてみますと病気の原因に脊髄神経根の圧迫がそんなに多くはないようです。

エドガー・ケイシーはむしろ、脊柱に対する施療は優しく触れる操作が重要であり決して強い矯正を行ってはいけないことを指示しており、このことは脊柱の神経系の乱れた流れを正すことが真に大切であるとことを教えています。

脊柱が歪み神経システムが乱され神経は異常な信号を出し神経筋肉骨格系領域の体性機能障害だけでなく内科、消化器科、内分泌器科、泌尿器科、循環器科、神経科などの多様な領域の有訴症状をもたらすと考えています。


脊柱が歪むとどんなことになるのでしょうか?具体的にあげてみます。

頸部は体の中でとても重要な交通路ですが頭を支える下部頸椎は変位を起こし易い部位です。

下部頸椎の解剖学的構造は脳神経線維と交感神経節、運動神経線維が交通枝と呼ばれる連絡網でネットワークを持ち椎骨間でつながっています。
下部頸椎の関節が歪むことは神経線維の走行にねじれを与えることとなりネットワークが乱され伝達能が正常でなく過剰な流れが生じます。

例えば信じにくいことですが首の付け根の血管運動神経が干渉されることで耳、目、鼻、口などの異常を引き起こし耳鳴り、難聴、視力低下、高血圧、喘息などの疾患の原因になることさえあります。

肩こり症と関節の歪みを考えてみます。
肩の筋肉群が慢性疲労した状態が肩こり症、首こり症であり、肩こり症は10歳代で発症し原因は不明とされるのですが、しかし10歳代の姿勢のねじれ方を調べると、肩こり者のねじれ方は健常者よりも特徴があることから、姿勢を作る脊柱と骨盤の変位が肩こりを作る要因と考えています。


腰痛症を考えてみましょう。
腰背部の筋肉群の慢性疲労した状態が非特異的腰痛症で別名がギックリ腰、一度発症すると再発を繰り返し慢性腰痛につながります。

筋肉が疲労する理由は不明とされていますが、実はそうではありません。

骨盤の可動性を調べると関節は変位していることがわかります。
変位を補正することで腰痛は短時間で軽減することから非特異的腰痛症は骨盤の関節がねじれていることが理由と言えます。
骨盤の変位は次回記載します。


体が歪む自己診断法

体の歪みがあるかどうか自分で分かる方法があります。
1.畳や板の間で仰臥位の姿勢で寝てしばらく後、背中や腰、お尻の左右どちらかが浮く感覚があったり、痛みがあったり違和感がある

2.就寝時、上を向いて寝ると落ち着かない、寝れない

3.マッサージチェアーで体を揉みほぐすと背中や腰が左右で違う感覚や、片側だけが痛い

4.椅子に座り背筋を伸ばし、両腕を首の後ろに回し肩辺りの一番大きな椎骨よりも二つほど下の椎骨に小指を当て小指から人差し指をそろ え左右均等に背骨の上にあてがいます。4本の指はそろえたままで、背骨から左右に2cm程度離し、片手だけ4本指を同時に前方に押圧し左右で硬さを比べます。硬い方が右指ならば背骨は歪んでいます。

5.ご自身の顔写真を撮影して見ると頭や顎は傾いる

6.履きなれた靴の裏底を見てすり減り方が左右で違う

7.椅子に腰かけて脚を組むと左右のどちらかが組みにくい
 どれか一つでも該当すれば姿勢にかかわる骨盤や脊柱の関節の歪み、体性機能障害になっているかも知れません。

さて、診断結果はいかがでしょうか?
脊柱が歪んでいない人はまずありません。

予防と対策法は、脊柱補正ブロックパットで補正を行っていただくのが一番手軽な方法で、予防は軽い運動でラジオ体操や15分程度のジョギングなど。

仕事柄お勧めするのは、数か月おきに一度の施療を受けられるのがベストで、骨盤と脊柱の調整を行います。

以上、脊柱の歪みについてです。

桜カイロ
院長 吉野和廣

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2013年11月15日

身体の歪み方

桜カイロ四方山話をお読みいただき誠にありがとうございます。

ここ数日来の大きな寒暖の差は、体にとても疲労をもたらすので、
体調を落とさないよう過食、過仕事、薄着には何かと用心をしてください。

腰痛と肩こりを取り上げて十数年ですが、とても多くの人が患っていることを考えると、本邦で的確な治療法が指針に上げられるのが急務です。

本日以降の四方山話は、これまで書いて来ました体の問題: 仙腸関節のこと、脊柱のこと、 身体の歪みのこと をまとめてみます。

ストーリー性をもってわかりやすく皆様に体に起こる問題を知っていただこうと思います。

専門的な用語も交じりますが、コメディカルの同業の方、医療従事の先生方にも医学的な同じ言語、トーンを合わせて書いていきます。

【はじめに】 
皆さん、生活に関わる大切なものと云えば上位は食事と睡眠、仕事になるでしょうか。生活に欠かせないインフラが停電、断水という事態になれば目もそちらに向くでしょうし、病気になると健康の大切さがわかり一番の大事なことは健康と云うことになると思います。


私たちの体は何百万年も前の太古の時代に出来上がっています。
そんな体に健康追及は先端技術を駆使し、医薬、体機能向上を目指した健康機能性食品やサプリメントなど有用成分を求める一方、50年前の食生活スタイルが見直され質素な栄養素摂取が良いとクローズアップされ、あるいは運動負荷が必要なのでウオーキングが奨励されたりで、健康の追及はいろいろで何が正しいのか混乱し始めています。


一方、医療ではこの数年来、糖尿病や循環器系の疾患は偏った食生活が原因であることを知らしめ、その治療と予防法は自らが食生活を変えた方が良いと云う自覚を促したことは大変な成果です。

うつ病やがんをはじめとする疾患や原因不明の難治性疾患は近年増え続けています。
紀元前の体を考えた時、原因は不明でなく糖尿病は自らの誤った食生活が原因であったように、実は健康を損なう環境にいることが原因です。

一言でいえば現代社会が生み出すストレスが問題なのです。

さて健康なままで終焉まで生きていたいものですが、国民健康調査で体の不調で悩んでいることの毎年ベスト2に上げられるのが腰痛と肩こりです。さしたる深刻な病気もなく健康であるけれども悩まされるこの二つの国民病は自然の摂理であるなら仕方がないのですが、罹患する年齢は10代と若く原因は何かしらあるはずです。

桜カイロ四方山話は健康な体における歪み、具体的には脊柱の歪みについて取り上げていますが、医療が治療対象として取り上げるのを忘れた本質的な新しい問題です。

国民病はなぜ繰り返すのでしょうか?腰痛、肩こりの治療というのは湿布薬、鎮痛剤、マッサージなどの対処療法のままです。

体は自然治癒、あるいは自己治癒力と呼ばれる自己修復能力を備えています。
その能力が働くには栄養と睡眠と安静が必要であることは分かっていますが、もう一つは脊柱の歪みの障害を補正することが上げられます。

脊柱の歪みの障害とは特に体性機能障害と命名されておりSomatic dysfunctionの訳語で、Somaticは身体のと云う意味で、dysfunctionは機能障害です。骨格、姿勢を維持する関節と筋肉、それらに関連する血管、リンパ管、神経系で構成される体を云いこれらの構造と機能に生じる障害のことで、医療が置き忘れた体性機能障害が当院のテーマであります。


体は正面から見ると均整がとれた左右対称になっています。

体の対称性について少し考えてみます。手は両手利きの方もおられますが、利き手があります。

利き手で作業すると反対側の手は助ける役割をするので、手の機能は対称ではありません。

では足はどうでしょうか?実は足も手と同様で利き足があります。ひとたび立ち上がると両方の足で体重を支えるので、利き足を意識的に感じることは難しいのです。

例えば砂地で足を使って30㎝程度の円を描く時、描く側の足が利き足です。
利き足に対する反対側は体重をささえるので軸足と呼びます。
機能解剖学の言葉を借りると筋力の持続性は利き足が勝り、筋肉の瞬発力は軸足なので足の運動機能も左右非対称です。

四方山話は利き足と軸足の明瞭な運動機能の違いが骨盤、脊柱に致命的な影響を与え筋肉神経骨格系疾患の発症に絡んでいる考え方をご覧いただきます。

18年間の臨床研究を基にして疾病の発症メカニズムを仮説化していますが、その全体像は次のようなものです。左右の足の使い分けは10歳代の年齢ですでに始まり、そのことが理由で右側の骨盤はほんのわずかに前へ出て、同時に右肩も前方に歪み体はわずかに左回旋様になるのが最初の体性機能障害です。

この歪みに対し体は姿勢機能が働き右回旋の補正を行います。脊柱が右回旋を行うのですが、姿勢が補正されることで脊柱は代償を伴う新たな体性機能障害を起こします。

そして脊柱の歪みは交感神経と脊髄神経とのネットワークに緊張をもたらし乱されることが問題で各臓器の間で繰り広げられるダイナミックな統合機能が働けなくなります。

脊柱は補正と代償を繰り返しストレスも加わり体性機能障害だけでなく多くの病名がつく健康障害になると考えています。
桜カイロ四方山話は二つの目的があります。

一つは骨盤の歪みの正しい情報を知っていただきたいと思います。骨盤はどう歪んでいるのか臨床知見に基づく情報をお示しします。

二つ目は、体性機能障害と関連する疾患分野の専門や周辺従事の諸先生方にもご一読いただきたいと思います。仙腸関節は休むことなく可動する関節であるし、可動性不全は腰痛発症の最大要因なので仙腸関節の問題を腰痛治療の指針に取り組んで頂きたいのです。

脊柱の歪みを補正する方法も開発しました。その方法は身の回りのもので代用できるし、専用器具も作りました。その補正法についても紹介してきました。

西洋医学は多くの治療法が行き詰る現状にあり、打開できない理由の一つに骨盤の問題を重要視しなかったことがあるように思います。

健康を維持するのに、一番に食事、二番に運動、そして三番に体を動かすことで起こった脊柱の歪みを補正していただき、健康な快適生活を続けていただきたく思います。

次回に続く

  


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2013年07月09日

一般家庭でお使いいただける脊柱ねじれ補正ブロックパット(B・B・PatHC)のリーフレット

皆様こんにちは


ご紹介いたしました一般家庭用の仕様のB・B・PatHCのフリーフレットが出来ましたので掲載いたします。


ヒトが長年かけて作り上げる背骨のゆがみメカニズムを開業以来、基礎研究を続けて来て、
骨盤のゆがみ方の違い、背骨のゆがむ方向そしてヒトは立った時の姿勢の違いを診せていただきそして行き着いたからです。
ご協力いただいた皆様には改めて感謝申し上げるしだいです。



何分、世界初の脊柱ねじれ補正ブロックパット、Blade Block Pat、B・B・Patです。

効用は、頭、首、背骨、腰の痛みや張りが軽減されて爽快な気分になることが期待されますが、
歪みメカニズムを仮説化し、その結果考案されたので、誰にでも使用できる万能な道具です。
ですので、対象となる方は年齢は小学生なら高学年以上で、高齢の方、介護を必要とされる方また妊産婦さんの方です。

印刷用の画像です
BBPatリーフレットA4-2

BBPatリーフレットA4-2




B・B・Patの取扱い店を募集しています。

詳細は下記製造発売元にお問い合わせください。

製造発売元:㈱レイアンドカンパニー 
〒521-1311 滋賀県近江八幡市安土町豊浦3026番地
電話番号 0748-46-5831  です。


桜カイロ
院長 吉野和廣


  


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2013年06月27日

脊柱ねじれ補正ブロックパット(B・B・Pat))の紹介(2)

皆様 今日は

梅雨前線はまだまっただ中、高い湿度ではありますが気温は幾分しのげます。
お体の具合いかがでしょうか。

前回は市場に導入した体の補正器具につきまして写真で紹介致しました。

器具の名称は、「脊柱ねじれ補正ブロックパットプロ」です。

英語表記ではBlade Block PatPRO.
頭文字を取って「B・B・PatPRO」

Bladeとは、葉っぱとか肩甲骨の意味で、
Blockとは、固定とか止めるで
Patとは、軽く擦るです
最後のPROとは、施療院、治療院向け用の仕様です



世の中には、たくさんの健康器具があり健康を増進し、つらい症状を軽減させるのに役だつものがあります。

「脊柱ねじれ補正ブロックパット」はその範疇の健康j器具ですが、
機能は先行品にはなく、類する既存品は存在しないと思います。
理由は特許で新規性が認められているからです。


本日は健康器具の分野で世界初で日本発の新規商品、B・B・Patについて若干お話します。

「脊柱ねじれ補正ブロックパット」は登録実用新案で第317019号。
考案の名称は、「背凭れ用シート部材」

特許の申請は平成23年6月で、審査後登録日は同年8月中でした。
予算の都合で外国へ申請はなし。

特許取得の作業はコツがあり結構訓練と経験が必要なのですが、
この度お世話になったは浜松市内の弁理士さんです。
とてもセンス良く的確な構築に仕上げていただいたことが短期間で無事登録と思っており、感謝しています。

皆さん、新規性のあるアイデアを持たれる方、特許申請を経験したいという方、多少のお金はかかりますが有能なその弁理士さんを紹介出来ます。


さて、「背凭れ用シート部材」の形状は前号で掲載したB・B・Patの実物写真を見ていただければお分かりのように三角錐が伸びたようになっています。


登録された形状は9枚の例を挙げて図示したのですがここに二つをお示しします。


家庭用椅子の背凭れ部分
図1 家庭用椅子の背もたれ部分に配置
背もたれ部分の左側が右よりも出っ張っています。



仰臥位用のシート部材 
図2 仰臥位用の左肩下部分に配置
前号実物写真の原型です。


そんな形状でどこに使うか?
上の図は自動車や鉄道車両、劇場における座席、事務椅子の背もたれ部分に配置します。
下の図は仰臥位姿勢の左肩下に装着し用います。
前号B・B・Pat写真は実際に使っているものです。


何が新規性なのか?
体とは絶えず左回旋の負荷を受けておりそのため脊椎は逆に右回旋の補正を行い、脊柱の歪みを生じさせているのですが、考案のB・B・Patを装着することで脊柱は左回旋し歪みを取り除くことを挙げています。


その作用は臀部から頸部における筋肉の硬結、血行不良、疲労等を生じさせない産業上の利用可能性は高いものがあると考えています。




思い起こせば「四方山話」は2008年12月2日が初回で第一号タイトルは「骨盤のずれ その実態」です。
施療を通じたくさんの患者様から体の歪み方を教えていただき、患者様が長期的に改善していただきたいことが目的で研究し発表してきました。


「四方山話」は過去40件の掲載でその半数はカイロプラクティックの学会仲間、鍼灸・柔整や医師の先生方に筋骨格系有訴者の脊柱の実像と発症機序の考え方、施術法を発信し、詳細は当院のHP内の論文名から取り寄せていただけるようにしたつもりです。


「骨盤の歪み方」からの学術追究がB・B・Patの開発につながったのですが、ご協力いただけた多くの患者様に今一度心よりありがたくお礼を申し上げさせていただきます。



次回も続きます。


桜カイロ院長
吉野和廣



B・B・Patは二種類の仕様があり家庭用(B・B・PatHC)も出ました(前号の写真は施療院、治療院用)。

お取り寄せ等の詳細は販売会社にお問い合わせください。
   (株)レイアンドカンパニー
   〒521-1311 滋賀県近江八幡市安土町豊浦3026番地
   ℡ 0748-46-5831

当院にお問い合わせいただいても構いません。


脊柱のねじれ補正はB・B・Patを用いなくても身の回りのもので代用できます。
詳細の方法は前前号の「あなたも体は左へねじれている」平成12年12月22日掲載にありますのでそちらをご参照ください。


以上











  


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2013年02月15日

脊柱ねじれ補正ブロックパットプロ(B・B・Pat)のご紹介

皆様 今日は。


前回は体に生じるゆがみの対処法を紹介しました。
特別な道具も使わず、皆様がご家庭で必要な時に
ご自身で出来る方法です。


本日はゆがみがあると、どういうことなのか?
健全な肉体と歪みについて続きます。


私達は自分の体が何処も痛くなく具合が良ければ
健康ではあるのですが、そうであっても背骨はねじれそれが
進行形の状態で存在し体内部で問題を起こしつつあります。

たとえば首に限っていうと、首は頭部と胴体をつなぐ
重要な部位であるにもかかわらず、
くびれた脆弱な構造となっています。


首は横断面で見ると後ろ半分は脊柱の屋台骨からなり
その中は脊髄神経や椎骨動・静脈で占められ、
脊柱の側面では脳神経や自律神経が走行します。
そして前半分は頚動・静脈やリンパ管、筋肉・・消化器、呼吸気道といった
「軟部組織」が複雑に絡み合いつつ整然となって頭部を支えています。



さてそのようなくびの屋台骨は頸椎です。
くびは7つの椎骨からなりそれぞれがジャバラのように連動してそれぞれが
可動する範囲があります。
ところが付け根の頸椎7番や頸椎6番は
20歳以降では可動性不全というのですが、
左回旋のねじれたままの状態で正常な可動性を欠いていると考えられます。
このような状態を椎骨の可動性不全(somatic disfunction)と称します。

健常人をはじめ肩こり、腰痛を訴える人々のくびはどのようにねじれているのか
調べた学術データを後日になりますが添付します。

早い人は10歳代からすでにこの状態に陥り、
具体的には小学生の男女で強い肩こりや頭痛を訴えるお子さんが該当します。

20歳代になると、ほとんどの人はくびがねじれてしまっています。

くび付け根にこの問題を持つことは、
心臓から頭部への送り出す動脈血圧あるいは
逆に頭部から体幹へ送り出す際の内圧の循環系は人によっては
閾値から逸脱する状態が継続的に続くと考えています。

それはひつこい肩こり、頭痛をはじめ高血圧、心室細動、不整脈、耳鳴り、難聴、
むくみや目の疲れなどをはじめ、自律神経失調症の症状をもたらすわけです。

腰痛や肩こりがなく健康な身体であっても、
じつは首の付け根は間違いなくねじれを起こしていて、それは
年月をかけて強くなってゆき加齢に従って症状を起こすことが想像されます。


可動性不全に陥った頸椎への改善法は、
一般的にはご来院いただき、院内で施術による策をとるわけで、
特に首の付け根あたりの場合、椎骨のゆがみと緊張していた神経や靭帯、
椎骨動脈の圧迫は瞬時に解放されます。
爽快な快感が伴なう様子を毎日のようにこちらは施術で目の当たりにし、
まさにカイロプラクティックのお家芸です!

手技は積極的な方法ではありますが、首の付け根の問題は
生活することで新たに発生するために良い状態と感じる期間は
およそ四週間か、長く保って数か月間限りです・・・

それに対して症状を改善するのに施術院に行くのでなく、
ご自宅でご自身がバスタオルなどを用いる方法はいつでも出来るし費用もかかりません。

ここにバスタオルなどの代用物ではなく
専用の道具があればそれを使いたいという方のために健康器具のご紹介いたします。

この健康器具は桜カイロが開発する
脊柱ねじれ補正ブロックパット(B.B.Pat)です。

脊柱ねじれ補正ブロックパット(B.B.P)
     脊柱ねじれ補正ブロックパット(B.B.Pat)


左肩の下に置いたB.B.P
     左肩の下に置いたB.B.Pat



次回も続きます。

桜カイロ
院長 吉野










  


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2012年12月22日

あなたも体は左へねじれている

皆様 今日は。


去る12月8-9日に開催された第14回日本統合医療学会(阪大:コングレスセンター)に出かけ、大変有意義な勉強の機会を頂いてきました(大会長:伊藤 壽記先生)。
本大会は大勢の医療や健康産業に従事する方々で盛大でした。

今回は一般の口頭発表の部で挑戦したのですが、静岡大学工学部の橋本岳先生と
大学院生の長倉陽平さんとの共同研究です。
演題名は「年齢変化における矢状面体幹姿勢の歪み方  -脊椎原性疾患の発症機序を考えて-」


データを基に「姿勢の歪み」を知れば知るほど、私たちには重要なキーワードと実感します。
本年は、本筋は同じ内容のスライド原稿で第14回日本カイロプラクティック徒手医学学術大会(仙台)と第24回日本療術師学会(神戸)でも講演させていただいたのですが、国内のカイロプラクターや療術師の方々に姿勢の歪みの見えない実態を知っていただきたいことが一番の動機。



さて、
今回は、体の不思議について記します。

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」とはユウエナリス(古代ローマ時代詩人)の一節です。
翻訳は誤訳されて伝わっているそうですが、話題にしたいのは「健全なる肉体」について。

さて、健全なる肉体とは本当に存在するでしょうかと言うのが、今回のデーマ。
ここでは、過去著名人が論じた話題と重なるものはありません。

とびっきり新鮮で価値ある情報を、ホットな今、お伝えします。


どなたにも深く関わっている体の不思議を、医療者の誰も今まで解らなかった重要で意味のある情報発信。
‘’四方山話カイロ話 ”の骨盤テーマ40編の集大成です。
キーワードは、健康、左肩上げ、代償、補填、右寛骨外方変位


表題の “あなたの体は左にねじれている” とは、
朝、起き上がると背中がすっきりとしない、背筋を伸びず、柔軟性がないというような方です。

皆さん当たってはいませんか?
上半身は左にねじれているいかも知れません。


見てもしないのになぜそんなこと云えるのか?
とても懐疑的になりますよね。

論じるより証拠、根拠は次回に説明するとして、
まずは次のことを試してください。


今よりもさらに健康を望む方、自宅で簡単に出来る有用な方法と考えています。


もっと詳しい症状は下の12個あげました。
1. 朝目覚め、起き上がると体がだるい、疲れが残っているようだ
2. 背筋を伸ばすと違和感、痛みを感じる
3. 背中が丸くなっていると感じる
4. 特に小中学生のお子さんが、肩こりがある、頭痛がある
5. 体が歪んでいると感じる
6. 右側の肩が前方に出ている、逆に左の肩が後ろに下がっている
7. 仰向けに寝ることが苦手、出来ない
8. 肩こりがある、肩はいつも凝っている
9. 肩こりがあるのか自分ではわからないが、肩を触れた人に指摘される
10. 時々であるが軽い頭痛持ちである
11. 手がだるい、手を上げると重い
12. 最近はなくてもこれまでにあった

上半身に関わる不快な症状をあげましたが、それらは日常で体に出現するものなのです。


では対処法ですが、

準備するもの:
1 バスタオル(厚地のタオルでサイズは、大人は125×65cm程度、子供ならそれよりも小さい大きさ)
 バスタオルは折りたたみ20×30cm程度の大きさにします
 タオルの代わりに座布団等も代用できますが、タオル地の方が望ましいです
2. .就寝時にお使いの布団、ベッド、枕

セットの仕方:
1. 枕を上から見た状態で、枕下端の右半分に折りたたんだバスタオルを置きます。
2. 置き方は枕の上にタオルを重ねるぐらいです。
3. 参照図で確認してください。
4. 注意 ※ 寝た姿勢では、バスタオルは左肩に当たります
        




寝方:
方法はいたってシンプルです。
上を向いて寝てください、バスタオルは左肩に当たるように。


安静にして、背中の力を抜いてください。
その状態で15分間安静にしてください。


朝布団から起き上がる前の15分が理想的かもしれません。



体がリラックスすればするほど、背中全体、背骨は窮屈でいやな感じになることもあります。

それは収縮し硬くなっていた背骨の靭帯や筋肉が解き放たれている様子と捉えてください。

体全体を良くするため、不快感でも15分間は安静にしてください。
不快感が収まると居心地は逆に良くなりますから...

背骨を悪くするものではないので勘違いをしないようにお願いします。
時には、心臓の拍動がわかったり、早くなったりすることもあります。

その後、起き上がりとてもすっきりした感じがわかれば、左にねじれていたかも知れません。


ただし、不快感がとても苦痛に感じられるようなら、そこで中止してください。
想定以上の問題をお持ちであるのかもしれません。

背中、左右の腰に圧迫痛を感じたなら骨盤調整の介入を必要としています。


次回は、健全な肉体はあるのか?その根拠について説明します。



健康な肉体が筋肉骨格系の疾患になぜ陥るのか? 
と言う疑問を命題とし臨床研究に科学分析手法を駆使し臨床像を解いてきました。

そして、‘’上半身は左にねじれている理論‘’にたどり着きました。


ではまた次回に。


桜カイロ
院長 吉野和廣


  


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2011年11月30日

エドガーケイシーに関する書籍

皆様、「四方山カイロ話」は三月以降ご無沙汰いたしましたが、再開です。

大地震から半年以上過ぎ去っても罹災された方、大津波に大地がのみ込まれる光景をTV画面で見てこの世の無常、強いショックを受けて重苦しいままの方もおられると思います。

神戸阪神大震災時では私も罹災者し自宅もそして中にあったほとんどのものを失い呆然としましたが、今はあの天変地異の脅威から生き延びれたラッキーな自分でした。

大切な人を突然亡くしてしまうことは心臓は捻じれ胸が張り裂けそうになるし、現実的には金銭が瞬時に無くなり社会人として困窮するわけですが、そんな時は思考の基準を自然体の目線で自分がこの世に存在する意義を考える、いやがおうでも考えることが出来る機会です。
私たちは人間社会の一員以前に自然社会の一員です。

今月でようやくすべての学会が終わり、先日ある出会いがあり自分を振り返る機会と考え昔の書籍を引っ張り出し今読み返しています。


現代社会で良質な発想の持ち主になる方法の一つにエドガーケイシーに関わる本があります!!

お勧めする2冊を紹介しますと、
一冊目のタイトル:エジプトからアトランティスへ、
出版:たま出版、価格:1,500円、著者:E.V.ケイシーら、訳者:よしだえみ
要約:エドガーケイシーが残した口述記録を基にBC5,000年以前の古代エジプト時代の考古学実施調査の結果を検証しています。
ピラミッドやスフィンクスの建造目的を語るノンフィクション調査資料はとても興味を引き付けられます。
さらにBC10,000年以前の幻のアトランティス大陸についても想像を絶する太古の歴史に触れていて、地球における人の存在意義を考え基本付けられる他の書物にはない印象的な内容です。

二冊目のタイトル:転生の秘密
出版:たま出版、価格:1,800円、著者:G.サーミナラ、訳者:多賀瑛
要約:著者のサーミナラ女子は米国人で著名な超心理学者です。
彼女がエドガーケイシーの口述記録とその該当者に直接利き取り調査を何年も期間かけて行い、エドガーケイシーについて書き下ろしたノンフィクション分析レポート。

人間の本性と生き方を示す示唆に富む内容で、多くの具体的な証拠を持っての記述はサスペンス調でもあり説得力があります。私も科学的思考の研究者で性格的には根拠に乏しい書物は置きませんが、サーミナラ女子には文句のつけようがありません。


なぜエドガーケイシーの書籍を持ち出したかとと云いますと、原著が英文で日本語に翻訳されたものて袋井院に30冊以上そろえて患者様に自由に閲覧いただいてますが、それらの中で「私たちの目的」、「宇宙の意識」、「覚醒」、「隣人への愛」とケイシーが伝えているキーワードと同じことを言われる興味ある方の講演会に出向いたからです。
ご講演者のお名前は野中邦子女史。ケイシー以来の能力を持たれる方かも知れないので次回に続きます。

桜カイロ
院長 吉野和廣


  


Posted by 桜カイロプラクティック at 12:12Comments(1)

2011年03月27日

希望をもって、勇気を持ってください。 応援しています

東日本大震災で被災された皆様、お見舞い申し上げます。

桜カイロ院長の吉野です。

大地震で激しくゆすぶられ、その上襲いかかった大津波に翻弄された皆様。
言葉に尽くせない恐怖の体験をされ大変怖かったこととお察しいたします。
原発の放射能汚染拡大と損傷事故の状況はますます深刻です。


亡くなわれた方には真に残念なことで、震災から生還された皆様にはお喜びとお見舞いの言葉を申し上げるものです。


住居を失い今は避難生活に入られ一安心ですが、突然の大広間の生活は大きなギャップと思います。
しばらくは忍耐ですね。

実は私も阪神大震災の被災者です。
早朝暗闇の中、直下大地震も言葉にならない上下大揺れでした。
状況を言いますと、
一階は完璧にペシャンコにつぶれ2階は重なるようにグッシャと倒壊。
2階で寝ていた私は布団をかぶりましたがガラス破片と土壁が散乱する中すきまが残って助かり這い出ました。

父も幸いで一人一階の東南の部屋にいて一軒家の建物全体は土台ごと西側の方向に1m飛んでグシャリで指先をけがしただけで助かっています。
そして母は一階居間で寝ていたのですが、その時刻トイレで用を足した時でした。
北西位置のトイレは4隅の柱だけが折れるようにとがって残りまったく無事。
私は次号記載する芦屋カイロプラクティックの故岡山武次郎先生の内弟子もしたかったのでその後半年間は仮設住宅生活も経験しています。


東北で罹災された方々にはさぞ空腹であったことと思います。
その到着が遅くなったようではありますが、食事は以降は増々何とかなるものです。

直後はあっという間に過ぎ去りました。まだまだ寒そうではありますが…
多くの皆さんは復帰したい生活基盤への見通しを憂うことと思います。


衣食住で長期的に忍耐を強いられたものは「住」です。

皆さん、心は忍耐を受け止める場面が多いことと存じますが、
どうぞ希望を強くもってください。

日々は忍耐の中、いろいろな場面の決断を下すことがあると思います。
どうぞ勇気を持って決断し、歩んでください。


こちらはすぐに駆けつけることはできないので、義援金を送らせていただきます。

もっと心配なのはますます深刻な原発事故の収拾。
作業に関わる方々は安全対策下でケガせず成功し、
ご無事で一刻も早く帰宅出来ますようお祈り続けます。

次回は阪神大震災で活躍した出張手技療法ボランティアについて記します。

それでは。

  


Posted by 桜カイロプラクティック at 19:12Comments(0)

2011年02月21日

日常臨床でのAK診断と説明

皆様
早春のこのごろいかがお過ごしですか。

熱海や小田原、遠州の梅は満開で、我が家の庭木に白梅が一本あるのですが堅いツボミ状態でまだ膨らんでくれません。
他が終わる来月中旬ごろ追い着きそうです。

さて、来週の日曜日は名古屋の勉強会があり、本年の学術活動開始。

学会名は、日本カイロプラクティック徒手医学会、名古屋支部第27回勉強会。
日にちは2011年2月27日(日曜日)、朝10時から夕方まで 
会場は名古屋国際会議場


今回3度目のその会場は中庭には騎士が白馬にまたがる真っ白なオブジェがあり下から見上げると高さは10mもありそうな勇壮な姿です。
白亜の建物群で統一され、昨年秋、多くの国家元首が集まったコップ10国際会議で知れ渡った場所です。
宣伝する理由もまったくないわけですが、会場が名古屋のど真ん中、新知事の誕生と劇的な市長再選であったので、名古屋県民の方に敬意を表し、名古屋びいきになったかも知れません。

会場に来られる先生方はカイロプラクティック院、鍼灸治療院、整形外科病院などで従事する方々です。

私の講演題目は「日常臨床でのAK診断と説明」。
持ち時間は90分間あるので、お話したいことは喋れそうですが、異なるレベルの方々にご満足頂ける内容にしようと必死で準備中です。

桜カイロ院では腰痛、肩こり、頭痛・・・で具合の悪い方の診断を行いその結果をもとに施術を行っております。
特に初診で来られた患者さんには、施術の後になぜ体が悪くなったかその理由をお話します。

具合が良くなりその後、辛くなくても月に一度程度の定期的にご来院頂く方も大勢おられます。
定期的な皆さんは、体が当初悪くなった理由、日常生活を続けることで健康と思っても体がなぜ悪くなっていくのかを理解されておられる方々です。

講演内容は先ほどの初診の患者さんにお話する「なぜ悪くなったのか」と同じことを喋ります。
会場の先生方には、桜カイロのこれまでの臨床データを示し、体性機能障害の臨床像と発症機序の考え方をお伝えする予定です。

それではまた。

桜カイロ
院長吉野
  


Posted by 桜カイロプラクティック at 22:12Comments(0)

2010年12月10日

第14回日本統合医療学会(徳島)に参加

読者の皆様

皆様、今年も師走月に入り何かとあわただしい中、新年を迎える楽しみのこのごろです。
ブログ更新ようやく開始です。
すっかりとご無沙汰しました。

九月から今月まで学会開催の時期で、そちらに専念していました。
12月11日~12日が本年最後の学会なので、持って行く資料の準備が先ほどようやく終わり、バックに詰め込んだところです。


初めて参加するのですが表題のような大会です。

多岐分野の諸先生方のご講演とシンポジウム、ポスター発表が予定された医療の力を根幹から見つめなおす理念のある学会で、特に本年は会場が母校で、昔の学びやにはお世話になった表敬訪問の気持ちもあります(当時の栄養衛生学教室の川田十三夫先生)。

会場では臨床栄養学者、機能性食品開発者、漢方学者、看護者、音楽療法者・・・の専門分野の実力者のお話を伺えます。


私がバックに詰め込んだ資料とは、仙腸関節のゆがみ方を学術的に表した内容で、ポスターセッションです。

仙腸関節のゆがみと統合医療とがどのように関わり合うのかと言いますと、
肩こりや日常にある腰痛などは、私たち手技療法者の得意分野ですが、
手技療法について医療のすみわけ位置を探るための学識者の集合と思います。

これまで、腰痛症や肩こり症の臨床研究の結果、筋骨格系疾患の発症は骨盤の歪みから始まると考えているのですが、既報の成果を積極的に情報公開し各分野の先生方のご意見をいただけたらと思っています。


医療の位置づけは富士山の山頂としたら今の手技療法者は富士山のすそのの、箱根か小田原かあるいは熱海あたりか。

先月は第22回日本療術師学会で四国松山で、
9月は私のホーム学会である第12回日本カイロプラクティック徒手医学会で九州博多でした。

そこでは大変ありがたいことに本年度の最優秀論文賞をいただきました
(その内容は左と右の骨盤が歪む問題は同じように発生するのではなく非対称的にあると言うものです)。
(そして嬉しいことに友人の天狗烏先生も賞を受賞されました)



遅れながらですが、皆様にご報告申し上げます。

それでは徳島に出かけます。

ではまた。

桜カイロ
院長 吉野和廣

  


Posted by 桜カイロプラクティック at 12:12Comments(0)