2009年11月04日

膝痛 (2) 桜カイロの視点と施療

次に、私たちの膝痛に対する原因の考え方、と施術効果をお話します。

年齢に伴う膝の退行性変化は運動努力で多少遅らせても避けられません。

知っていただきたいのは膝痛の大きな原因は膝の退行性変化とは限っていないことです。
膝痛がないご年配の方がどれだけ多くおられることか・・

原因の心当たりがない膝痛で来院いただくのは高齢の方だけではなく小中高の若年者から中高年者もおられます。
腰痛もそうですし、肩こりも同じで筋骨格系疾患について言えることは、発症は年齢に依存するものではないと言うのが桜カイロの見解です。

膝の機能は下腿を移動する役割ですが、姿勢を保ちながら体の移動させるのにはさらに股関節と仙腸関節が中心の役割をしています。

3つの関節は異なった位置にありますが体幹から足につらなる筋肉で橋渡しされ連結し合っているのです。

膝痛が年齢の増加と関係するというのは軟骨のすり減りではなく、すでにゆがんでいた骨盤がさらにゆがみを増大することで、3つの関節の位置関係がずれてその結果、筋肉の骨付着部に痛みがでることが理由と考えています。
このゆがみが増加する理由が、年齢増加に伴う生理的な筋肉量低下、極度の運動不足であったり、体重過剰があげられます。

筋肉の付着部とは下腿の脛骨内側と外側や膝蓋骨上端があたります。

筋肉の代表格が大腿四頭筋で太ももの前側にあり、その上端は骨盤の前部に付着し、下端は膝頭に付着しています。大腿四頭筋の機能は骨盤が後ろに行かないように支えたり足を前に出したりします。

大腿二頭筋は太ももの後ろ側で四頭筋とは逆機能を持ちます。
その他に縫工筋、薄筋などの筋肉が体幹と膝を連結する補助となります。

これらの筋肉が正常に機能するのは関節が生理的な位置にあってのことです。
これまでに骨盤、仙腸関節の問題を何回も論じてきました。仙腸関節の記事をご覧ください。

この関節の位置がずれるとその状態を変位と言い、ずれる方向は大変特徴を持っていることを示してきました。
変位すると筋肉の付着部の位置が変わってしまうことと、関節としての可動性が乏しくなるので筋の収縮は正常に出来なく筋は傷つき筋付着部の炎症が始まるのです。

炎症初期は、いわゆる膝内側や外側の痛みとして感じることとなります。
いわゆる膝痛そのものです。
専門の医療機関で言う軽度の変形性膝関節症です。

歩行や正座により負荷が持続すると、炎症反応は膝関節液を貯留させることで膝の動きを抑制させ、膝筋付着部の炎症拡大を防ごうとする防御反応と考えています。

私たちが水腫を抜き取ることが良くないというのは、痛みが減って一見楽になるようでも抜くことで治癒機転が遠のき痛みの再発は慢性化となり骨のいびつな増殖に移行しやすくなると考えいます。
溜まった関節液を抜きヒアルロン酸を局注する発想は貧困に感じます。

さて、炎症初期で膝痛を訴えて来院いただく方へは、私たちの実際の施術は大変楽なものです。

どうするかと言うと、
左右の仙腸関節に潜んでいる変位を検出、その方向を的確に特定し、適切な方向に施療するだけです。
簡単そうですが診断はたやすいものでありません。判定は繊細であり熟練者のみが読み取ることが可能です。
ですので、どこのカイロプラクティックでも良いと言うものではありません。


的確な施術を受けらた後は、階段の上り下り時の膝痛もただちに解消しています。
一回だけの施術では心もとないのですが反復の施療でその後の一ヶ月以上は膝痛の再発ないようにも思います。

膝が変形し何年も経過していたとしても、たちどころというわけにはいきませんが、仙腸関節の調節で痛み自体は半減するものです。膝にはオイル湿布で炎症を軽減させ、さらに手を膝に触れて半月板の位置を戻しかなりのところまで改善が期待できます。

気がつかなかっただけかも知れませんが開業以来膝痛で来院いただき、改善せず途中で諦められた方はおられなかったぐらいの実績はあるように思っています。

膝痛・腰痛・肩こりをはじめ筋骨格系有訴の症状だけでなく他の領域の疾患も同じですが、疾患の発症の機序を理解しないでその場の痛み軽減する療法は、体に慢性化に悪化させる側面を有しています。

膝痛の治療法は医療界では柔整師や理学療法士の方々がさらに的確な療法に焦点を定めることが施策になるように思います。
筋骨格系疾患は内服薬や外用剤では治癒出来ないと思います。
そうなるとカイロプラクティックの施術とどう違うのか混沌となることが予測されますね。

カイロプラクティックは療術としてとても大きく発展してきましたが一つの団体ではありません。創始者の考案は多くの手に受け継がれながら技も多様に存在し考え方もさまざまです。

体にある変位の実態なぜ出来るのかと言った肝心な全体像のエビデンスはまだ何もわかっていません。
新たな技のセミナー実演に夢中となり体の変位を追求出来ないカイロプラクティックの程度もそれぐらいなのです。

なので、筋骨格系疾患の対処はカイロプラクティックに限らないいわゆる手技療法による取り組みが期待されます。

今月は後半に日本腰痛学会があり、発表の準備で追われています。
本学会は整形外科の先生方が集まる臨床の学会ですが、カイロプラクティックの演題も私を含め3題あがってます。

今回医師でなく会員でもない私が発表できることは大会長のお世話になったからでして、発表のご許可を頂き恥じないものを発表するつもりです。

内容は健康なヒトも仙腸関節変位が存在しており、腰痛発症の原因は変位の増悪によるという考えをデータで示唆しています。この知見の公開が整形外科領域で腰痛発症機序の新仮説に映れば良いのですが・・

では。
桜カイロ
吉野

  


Posted by 桜カイロプラクティック at 13:12Comments(2)

2009年11月02日

膝痛 (1)  整形外科領域の治療

皆様 今日は。
桜カイロ 院長の吉野です。

本日は、膝痛について。
私たちカイロプラクターが施術する腰痛や肩こりは、筋骨格系疾患と称しています。

その疾患の代表格が腰痛で、二番は膝痛が登場。
ご来院いただく方は、腰だけでなく膝も痛いと訴えられることは多いです。
実を言いますと、カイロプラクターは手術の必要までに至らない一般的な膝痛の改善は得意です。
過去障害の程度の差にもよりますがご年配の方であっても、痛みは軽減し、膝は改善します。

肩こり、背部痛と同様でして筋骨格系の疾患で緊急性のない限り私たちは最も得意とする分野であります。

さて、膝関節痛。
膝痛の方に対する治療の現状から入ろうと思いますが、一般的な医学の知識と整形外科の主な治療法について。


膝の痛みを訴える方は年齢から覗くと、若い人の場合は外傷であったりまれには癌によるものがあったりして若年者では一般的とはされていません。
多くの方は年齢が重ねるにつれ膝が変形し、これは膝が退行性の変化を起こしてしまうので老化が関わります。

特に原因がなく膝の形が膨らんだり曲がったりするのは、関節軟骨の増減によるもので膝の中心では関節軟骨の細胞増殖が少なくなるため中心部は磨耗し、膝の外縁辺りは逆に増殖するため膝が変形してしまうのです。

いわゆる老化に基づく変化とも言われ、この変化は私たちは心は別として体には受け入れざるを得ません。けれども、変化してもそれだけのことなのです。
その変化自体は痛みは決してないことを知って下さい。

軟骨の増減自体は顔のしわが増えたり、白髪に変わるようなことと同じものです。


膝関節のトラブル《このトラブルとは次回ご説明します・・》を生じると痛みに発展するのですが、膝内部は炎症を起こし関節液が溜まり(いわゆる膝の水溜り)、こうなると半月板や靭帯とりまく筋肉の一連の膝関節構造の歯車がかみ合わないのです。この症状は変形性膝関節症と診断名がつきます。
かみ合わない機能が続くと一部破損や化膿し強い炎症性の病名になります。

整形外科的にはこれらの治療は段階によって方法が違います。

レントゲン、内視鏡、血液検査などで確定し靭帯損傷などの場合などは外科的な手術となりますが、特に理由が見当たらない痛みだけの場合や加齢性と判断されれば鎮痛消炎剤や湿布・塗り薬の処方になります。

溜まった関節液は穿刺して抜きますが、その後ステロイド(現在はあまりしていない)やヒアルロン酸を注入します。

その他は、いわゆる電気的療法や運動療法(理学療法)。

いずれもこれらの異なった治療方法は保険点数が付いており、もちろん点数が高い治療方法が収益を上げます。

以上は烏天狗先生にお教えいただいた現代医療の指針と治療法を紹介しました。


次回は、『膝痛(2) 桜カイロプラクティックの視点から』です。

桜カイロ
吉野  


Posted by 桜カイロプラクティック at 14:40Comments(2)